制作会社単位で2023年アニメを振り返る 特にすごかった会社を勝手に褒めよう企画
2023年アニメもそろそろ終わりが見えてきました。今年は1年を通じて大作も意外な伏兵も愛すべき作品も多く、いつにも増して満足度が高い1年だったと感じます。
さて、年末にはさまざまな雑誌やサイト、サービスなどで1年間のアニメを振り返る企画がありますが、今回は制作会社単位で振り返り、特によかった会社を勝手に褒めようという試みです。ただし、MAPPAやWIT STUDIO、A-1 Picturesといった毎年すごい(語彙力!)制作会社は殿堂入りとして選考対象から除外しています。「今年は特にすごかった!」と言える、相撲の三賞における敢闘賞的な意味合いでの企画と捉えていただければ幸いです。
また筆者はアニメ制作に関してはズブの素人であり、あくまでいち視聴者として年間220本程度のTVアニメなどを観続けたうえでの感想という前提でご笑覧ください。
動画工房
「動画工房も毎年すごいだろ!」と言う声も聞こえそうですが、それでも今年の動画工房は称えるべきでしょう。同社と言えばかわいい女の子がたくさん出てくる作品(もしくは『刀剣乱舞-花丸-』)のイメージを持つ方が多いかもしれません。しかし2023年以降は「『【推しの子】』の会社」として認知する人が増えるのではないでしょうか。
そもそも『【推しの子】』はアニメ化前からマンガ好きには広く知られた作品であり、今回のアニメも劇場先行上映されるほど、送り手側からは強く期待されていた作品です。そんなヒットを打つべきタイミングで、きちんとホームランを打った(しかもこれまでの得意ジャンルとは異なる作風で)功績は大です。また『テクノロイド OVERMIND』も、1年を通じて続いたユニークな女性向けアニメの嚆矢として忘れられない1作でした。
さらにTVアニメ以外に目を移せば、2023年最大のヒット曲であり国内外で人気(YouTubeのMV再生回数が3.9億回超え!)のYOASOBIの「アイドル」のMVも手がけるという偉業も。先述した相撲の三賞で例えるなら、殊勲賞兼敢闘賞兼技能賞受賞ものの奮闘ぶりです。
C2C
C2Cは2009年設立の中堅ですが、初めて元請けとして手がけたのは2018年の『はるかなレシーブ』でした。その後も『ひとりぼっちの○○生活』や『魔女の旅々』、『プラオレ!〜PRIDE OF ORANGE〜』など毎年良作を生み出している会社ですが、今年はいよいよ本格化してきた感があります。
そんなC2Cが今年手がけたTVアニメが『便利屋斎藤さん、異世界に行く』『江戸前エルフ』『シャングリラ・フロンティア』の3作品。『便利屋斎藤さん、異世界に行く』の安定感と度肝を抜く最終回のラスト、『江戸前エルフ』の瑕疵を挙げようがないほどの良作ぶり、そしてオンラインゲーム世界を舞台にした『シャングリラ・フロンティア』の面白さを底上げするアクションシーン……いずれも今年のベストに挙げる人がいてもおかしくない作品ですが、それを支えたのはC2Cでした。しかもどれも嫌味のない、“ちょうどいい”良さなんですよね。この異常とも思えるほどのハイアベレージ感、サッカー日本代表での伊東純也クラスです。
いいアニメを作った会社にはいい仕事が舞い込む……というほど単純ではないかもしれませんが、今後も安定していい作品を作ってくれると期待できるでしょう。