今こそ振り返りたい“2015年アニメ史” 『君の名は。』前にあった地殻変動の予兆とは?

今こそ振り返りたい“2015年アニメ史”

 2025年、松井優征原作のテレビアニメ『暗殺教室』が放送10周年を迎え、再放送が始まった。もう10年も経ったのかと思うと、10年という期間は長いようで短い。アニメ業界もこの10年で市場は大きく成長し多くの変化があった。そんな10年前のアニメシーンを振り返ってみると、今に続く萌芽が見て取れることに気が付く。10年前のアニメシーンはどういうものだったのかを振り返ってみよう。

『おそ松さん』の大ヒット、『ユーフォ』の完成度が話題に

TVアニメ「おそ松さん」2025年7月放送決定【超ティザーPV】

 毎年、数多くのテレビアニメが放送されるが、2015年も例外なく大量の作品が供給された。そんな年に一番大きな話題をさらった作品と言えば『おそ松さん』がまず挙がるだろう。赤塚不二夫生誕80年記念で27年ぶりの新作テレビアニメとなった同作は、大人でニートとなった6つ子たちの怠惰な日常を、ブラックかつシニカルな笑いで描き、社会現象と言えるようなヒットとなった。下ネタ連発にもかかわらず女性ファンを大幅に獲得したことで話題となり、関連グッズやタイアップ商品なども数多く発売された。

 この年は、『おそ松さん』のような、昔の有名作品のリブート企画が目立った年だった。『ルパン三世』が30年ぶりのテレビシリーズ復活となったのもこの年(スピンオフ作品を除く)で、その他『ドラゴンボール超(スーパー)』も同作のテレビシリーズとしては18年ぶりの展開となった。2020年代に入り、リメイクのアニメ企画が目立つようになっているが、名作シリーズの復活という点で、似たような傾向はすでに10年前にも見て取れる。これらの作品が成功したことも業界の企画決定に影響を与えているだろう。

『最終楽章 響け!ユーフォニアム』上映決定PV【2026 ROADSHOW】

 名作リブートばかりではなく、新作アニメも多くの話題作に恵まれた。この年には『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか(以下、ダンまち)』『響け!ユーフォニアム』『オーバーロード』といった、その後長期に渡りシリーズ展開をすることになった作品が放送開始されている。『響け!ユーフォニアム』は大人数の楽器演奏という、アニメーションとして難易度の高い描写に挑み、密度の高い人間関係から織りなすドラマも大きな評判となった。『ダンまち』はアニメを中心としたメディアミックスを成功させ今日も続くシリーズとなり、『オーバーロード』も同様に、長期的人気を獲得、異世界転生系作品の代表格として知られるようになった。

 また東映アニメーションを離れ、フリーとなった松本理恵監督が『血界戦線』でその才能を改めて示したのも、この年の大きなトピックだ。その他、『まんがタイムきららフォワード』(芳文社)で連載されたマンガをアニメ化した『がっこうぐらし!』は、第1話の衝撃的な展開で日常系アニメに新風を吹き込んだ作品として、多くのアニメファンに記憶されることとなった。

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