『【推しの子】』第2期の見どころは? メディアミックスの裏側と有馬かなvs黒川あかね

 アニメ『【推しの子】』の第2期が2024年に放送されることが、11月26日に開催されたリアルイベント「苺プロダクション☆ファン感謝祭 2023」にて発表された。『【推しの子】』といえば、国内のみならず海外でも広く話題を呼んだり、YOASOBIによるオープニング主題歌の「アイドル」が米ビルボード・グローバル・チャート“Global Excl. U.S.”で首位を獲得するなど大ヒットを記録したりと、2023年最も話題になったアニメの一つと言えるだろう。

※以下、アニメ『【推しの子】』第1期のネタバレを含みます。

YOASOBI「アイドル」 Official Music Video

 産婦人科医の主人公・ゴローと、彼が担当していたドルオタの患者・さりなはお互いの“推し”であるアイドル・アイの子供アクアマリン(以下、アクア)とルビーとして転生する。しかし、アイはゴローのことも殺したストーカーのリョースケに殺されてしまった。住所を提供したと思われる実父が黒幕だと睨んだゴローもといアクアは、アイと同じ芸能界に身を置くことで彼を見つけ出し、復讐することを心に誓う。

 映画並みの放送時間だったことに加え、作品の前情報が何もない視聴者にとってはショッキングな展開が待ち受けていたことから、リアクション動画もバズったアニメ第1話。そこから展開された第1期は、アクアとルビーが陽東高校に通い、幼い頃に共演した元天才子役の有馬かなと再会したり(「芸能界」編)、アクアが恋愛リアリティショーに出演したり(「恋愛リアリティショー」編)、ルビーがB小町を復活させてステージに立つなど(「ファーストステージ」編)、双子の芸能界入りと進出が中心に描かれた。特にプロローグの「幼年期」編ではアイドルと世間、そしてストーカー問題を取り上げ、「恋愛リアリティショー」編ではアクアの共演者である黒川あかねが視聴者からの誹謗中傷に耐えかねて自殺未遂を起こすなど、“闇”の部分にも大きくフォーカスが当てられた。しかし、第2期の「2.5次元舞台」編は少し毛色が変わってくる。本章で焦点を当てられるのは「メディアミックスの裏側」、そして「役者の魂」と「アクアの内面」なのだ。

「2.5次元舞台」編では有馬かなと黒川あかねが直接対決

TVアニメ『【推しの子】』第2期ティザービジュアル公開記念映像

 「2.5次元舞台」とは、2次元の人気漫画やアニメゲームなどを原作とした3次元の舞台コンテンツの意で、特に近年は人気が高まっている分野の一つでもある。『【推しの子】』が連載中の『ジャンプ』系列も昔から力を入れており、特に“テニミュ”ことミュージカル『テニスの王子様』は業界の先駆けとも言える。近年では『僕のヒーローアカデミア』や『呪術廻戦』、『チェンソーマン』に『SPY×FAMILY』など、人気作品はアニメ化されるだけでなく、舞台化されることも自然な流れになってきた。中にはミュージカル『刀剣乱舞』など原作から独り立ちするほど爆発的なヒットを起こした舞台も少なくない。それくらい需要も増え、広く見られるようになった2.5次元舞台をテーマに、第2期はメディアミックスの難しさが描かれることになるだろう。

 第1期でも、漫画原作のWebドラマ『今日は甘口で』(今日あま)を巡って原作者を落胆させる脚本と俳優の演技が取り沙汰されていた。これについては漫画からアニメへ、漫画から2.5次元へ、漫画から実写化など様々な場面で根本的に同じ問題を抱えつつ、その現場ごとに問題の解決方法や“業界のルール”などが違う。そして本章では、私たちの見えないところで実際にどんな過程を踏まえてメディアミックスが行われているのか、その片鱗を見ることができる。「原作との乖離」「キャラクターの解釈不一致」など私たちが観客としてモヤモヤしてきた部分に対し制作側がどう対処しようとしているのか、“表現の計算”とその難しさを知られるテーマとなっているため、特に漫画・アニメファンは興味深く楽しめるはず。

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