北米で記録的大ヒットも日本では不振の『バービー』 理由はバーベンハイマーではない

『バービー』日本で不振の理由は?

 お盆休みと重なった先週末の動員ランキングは、『キングダム 運命の炎』が3週連続で1位をキープ。週末3日間の成績は動員40万1400人、興収6億200万円と、わずかながら前週を上回る数字を記録するという好調ぶりだ。累計の動員は227万2000人、興収は32億8200万円。 2位の『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』(公開4週目週末までの累計興収37億8300万円)、 3位の『君たちはどう生きるか』(公開5週目週末までの累計興収62億3500万円)が思いのほか落ち着いた成績にとどまっていることもあって、結果的に今年の夏休み興行は上記3作品による三つ巴の争いとなりそうだ。

 初登場作品でトップにつけたのは7位の『リボルバー・リリー』。オープニング3日間の動員は13万3177人、興収は1億7994万9520円。今年最大の話題作にして、今週、アメリカ国内では遂に2008年の『ダークナイト』を超えてワーナー作品の興収新記録を塗り替える快挙を成し遂げた『バービー』は、日本では8位に初登場。 オープニング3日間の動員は12万6916人、興収は1億9093万9600円。興収では『リボルバー・リリー』を上回っているものの、2億円に満たないオープニング興収は、日本以外の状況と比べるとあまりにも低い。

 もっとも、ソーシャルメディアなどでは先週末の『バービー』上映スクリーンの熱を伝える書き込みも多く、都心部においては満席に近い回もあったという。逆に、少なくとも自分の観測範囲では観客の男女比や年齢層には意外なほど大きな偏りはなく(観客に女性が多いのは間違いないが、作品のテーマをふまえればもっと偏ったとしても不自然ではないだろう)、日本での『バービー』興行における最大のウィークポイントは都心部と地方のギャップだったのかもしれない。このような傾向はアートハウス系作品においては珍しいことではないが、アートハウス系作品の期待の星からハリウッドのトップ監督へと飛躍を遂げたグレタ・ガーウィグ監督の作品が、日本においてのみ過去の磁場にとどまっているのは皮肉な話だ。

 案の定、今回の『バービー』の国内興行の不振の理由を、北米のファン発信のネットミームを発端とする炎上騒ぎに求める記事や書き込みなどを頻繁に見かける。しかし、そもそもハリウッドのコメディ作品が日本のマーケットで当たるのは極めて稀なこと、さらにリカちゃん人形というドメスティックの人気玩具キャラクターが広く愛されてきた日本では、バービー人形そのものの知名度が低いことの方が、理由の説明としては妥当なのではないか。

■公開情報
映画『バービー』
全国公開中
出演:マーゴット・ロビー、ライアン・ゴズリング、ウィル・フェレル、シム・リウ、デュア・リパ、ヘレン・ミレン
監督・脚本:グレタ・ガーウィグ
脚本:ノア・バームバック
配給:ワーナー・ブラザース映画
©2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.
公式サイト:barbie-movie.jp
公式X(旧Twitter):@BarbieMovie_jp
公式Instagram:@barbiemovie_jp

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