『マイ・エレメント』と『トランスフォーマー』新作から見えるハリウッド映画興行の現在地

ハリウッド映画興行の現在地

 先週末の動員ランキングは、トップ10に初登場4作品という乱戦の中、『キングダム 運命の炎』が週末3日間で動員39万8000人、興収5億9500万円をあげて2週連続で1位をキープ。累計で動員は157万人、興収22億7100万円となっている。一方、前回も指摘した通り、『君たちはどう生きるか』(先週末4位)、『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』(先週末5位)の両作には伸び悩みの傾向が見られる。『君たちはどう生きるか』は公開から約1ヶ月が経過した8月11日(金・祝)からようやく劇場パンフレットが発売される運びとなったが、果たして起爆剤となるだろうか?

 今回は先週末3位に初登場したピクサー・アニメーション・スタジオの最新作『マイ・エレメント』と、6位に初登場した『トランスフォーマー/ビースト覚醒』を取り上げたい。『マイ・エレメント』のオープニング3日間の動員は25万5000人、興収は3億3700万円。これは、2022年7月に日本で劇場公開されたピクサー作品の前作にあたる『バズ・ライトイヤー』のオープニング成績との興収比で88%。2020年8月に日本で劇場公開されたオリジナル作品として前作にあたる『2分の1の魔法』のオープニング成績との興収比で156%。ちなみに『バズ・ライトイヤー』の最終興収は12.2億円、『2分の1の魔法』の最終興収は8.7億円。コロナ禍前の最後の公開作品となった2019年公開の『トイ・ストーリー4』の最終興収は100.9億円だった。

 『トランスフォーマー/ビースト覚醒』のオープニング3日間の動員は22万4473人、興収は3億5322万6320円。動員ランキングでは6位だが、興収ランキングでは『マイ・エレメント』を上回って3位となっている。これは、2019年3月に日本公開された『トランスフォーマー』フランチャイズ作品の前作にあたる『バンブルビー』の128%。ちなみに『バンブルビー』の最終興収は8.7億円。『トランスフォーマー』フランチャイズで最高興収を記録した2011年公開の『トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン』の最終興収は42.5億円だった。

 さて、これらの数字が物語っているのは、ここ数年下降傾向にあったピクサー作品も『トランスフォーマー』フランチャイズ作品もようやく底を打ったと同時に、まだ完全な復調傾向にあるとまでは言えないことだ。もちろん、ピクサー作品も『トランスフォーマー』フランチャイズ作品も作品の仕上がりにも世界興収にもバラつきもあるし、単純に時間軸だけでは語れないのだが、コロナ禍のファクターを除いても、日本ではこの約10年間で数分の1の興行規模となってしまった。

■公開情報
『マイ・エレメント』
全国公開中
監督:ピーター・ソーン
プロデューサー:デニス・リーム
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
©2023 Disney/Pixar. All Rights Reserved.
公式サイト:https://www.disney.co.jp/movie/my-element

『トランスフォーマー/ビースト覚醒』
全国公開中
監督:スティーヴン・ケイプル・Jr.
製作:ロレンツォ・ディ・ボナヴェンチュラ、スティーヴン・スピルバーグ、マイケル・ベイ
出演:アンソニー・ラモス、ドミニク・フィッシュバック
吹替キャスト:中島健人、仲里依紗、玄田哲章、子安武人、藤森慎吾、高木渉、柚木涼香、本田貴子、ファイルーズあい、武内駿輔、飛田展男、三宅健太
配給:東和ピクチャーズ
©2023 PARAMOUNT PICTURES. HASBRO, TRANSFORMERS AND ALL RELATED CHARACTERS ARE TRADEMARKS OF HASBRO.©2023 HASBRO
公式サイト:https://tf-movie.jp/
公式Twitter:https://twitter.com/tf_autobot 
公式Facebook:https://www.facebook.com/tfmovie.jp/

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