今田美桜が『ラストマン』で託された役割 『わた婚』『東リベ』を経てさらなる飛躍へ
TBS系列の日曜劇場で放送中の『ラストマンー全盲の捜査官ー』で“技術支援捜査官”として、福山雅治演じるFBI捜査官の皆実広見と、大泉洋演じる護道心太朗のバディをアシストする吾妻ゆうき役を演じている今田美桜。おそらく彼女は、この2023年上半期の日本映画を代表するヒロイン女優として君臨していると言ってもいいだろう。
3月に公開された『わたしの幸せな結婚』では、生い立ちと血筋、政略結婚に加えて、奇怪で不穏な影も苦しめられながらも気丈に前を向く不遇で薄幸なヒロインを演じ、『東京リベンジャーズ』の続編2部作の前編『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -運命-』では、前作に引き続き若手男性俳優たちのオールスターキャストのなかで紅一点として輝く。前者はロングランを記録し興収25億円を突破、後者も興収20億突破目前となれば、興行的な裏付けも充分である。
同世代の女優たちのなかでも一枚抜けて華やかなビジュアルを活かし、そこからイメージされるような少しトゲのある“気の強い”キャラクターを演じつつ、その内面が深掘りされていくにつれて“弱さ”と“脆さ”が見え隠れして等身大性が強まり、親しみやすさが生まれる。今田の認知度を急激に高めた2018年の『花のち晴れ~花男 Next Season~』(TBS系)をはじめ、『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』(日本テレビ系)や『親バカ青春白書』(日本テレビ系)、さらにはNHK連続テレビ小説『おかえりモネ』など、これまでの代表作といえる出演作はある意味で一貫した方向性で、今田美桜という女優のファーストインプレッションを塗り替える役割を果たしてきた。おおよそそれが企業CMの起用の多さにもつながっているともみえる。
『おかえりモネ』今田美桜の同志としての存在感 過去の朝ドラ“ライバル”役とは違う?
『おかえりモネ』(NHK総合)の主人公・百音(清原果耶)は、気象キャスターの朝岡(西島秀俊)に初めて会ったとき、“耳”の良さを発…
とはいえ意外なことは、前段で挙げた作品の名前を見ればわかる通り、この5年ほどの活躍ぶりとは対照的に主演作やヒロイン格を演じた作品が決して多くないということである。先述したような第一印象とディテールのギャップが、シンプルに日本の映画・ドラマで求められているヒロイン像とはかけ離れているのかもしれない。