今田美桜が『ラストマン』で託された役割 『わた婚』『東リベ』を経てさらなる飛躍へ
数年のブレイク期を経て2022年4月期に放送された『悪女(わる)~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~』(日本テレビ系)で連ドラ初主演を飾れば、この上なく天真爛漫なキャラクターで周囲を巻き込む主人公の田中麻理鈴を溌溂と演じ切る。この役を演じるために役者になったのか、それとも彼女が演じるためにこのキャラクターがあったのかと思わんばかりの動きで、これまでのあらゆるイメージをすべてリセットしてしまう勢いで畳み掛ける。なんともとんでもない武器を隠し持っていたのかと驚嘆させられたほどだ。おかげで一気に、掴みきれない不思議な女優という印象は強まり、同時にここからさらに大化けしそうな気配さえただよったのである。
『悪女(わる)』に反映された“働く女性のリアル” 異なる世代の2人の女性Pが込めた思い
6月15日の放送で最終回を迎える『悪女(わる)~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~』(日本テレビ系)。深見じゅんによる漫画を…
実際その予想は、『悪女』の次の作品となった『わたしの幸せな結婚』で、これまで彼女が演じてきたタイプとは異なるヒロインになったことで実証される。いわば第2のフェーズに突入したといってもいいだろう。もはやそこに華やかだけどトゲのある薔薇のようなファーストインプレッションは存在せず、もっとナチュラルなかたちで作品の世界に入りこむ術を得たというべきか。いわゆるスター役者タイプのイメージ先行型をあえて忌避し、一歩引いた位置から作品の礎を形成していきつつ、ここぞというタイミングですべて呑み込もうと狙っているかのような強い視線は健在なのだ。
今回の『ラストマン』での役回りはまさにそれに近い。福山演じる皆実の“目”となり、現場ではない一歩引いた場所から指示役に回る縁の下の力持ちでありつつ、彼女が演じる吾妻と皆実の過去のつながりがひとつのフックとして早い段階から機能している。
5月14日に放送される第4話ではそんな吾妻にフォーカスした物語が展開するようで、そこから一気にドラマ内における彼女の役回りが大きくなる可能性も充分考えられるだろう。『半沢直樹』(TBS系)以来3年ぶりの「日曜劇場」で、今田美桜がどれだけの存在感を発揮するのか。これは大いに注目しておきたいところだ。
■放送情報
日曜劇場『ラストマン-全盲の捜査官-』
TBS系にて、毎週日曜21:00~21:54放送
出演:福山雅治、大泉洋、永瀬廉(King & Prince)、今田美桜、松尾諭、今井朋彦、奥智哉、王林、寺尾聰、吉田羊、上川隆也
脚本:黒岩勉
演出:土井裕泰、平野俊一、石井康晴、伊東祥宏
撮影監督:山本英夫
プロデュース:益田千愛、元井桃
編成プロデュース:東仲恵吾
音楽:木村秀彬、mouse on the keys
全盲所作指導:ダイアログ・イン・ザ・ダーク
協力:日本視覚障害者団体連合
製作:TBS
©︎TBS
公式Twitter:@LASTMAN_tbs
公式Instagram:LASTMAN_tbs