坂本龍一さんの“夢”が詰まった109シネマズプレミアム新宿 高価な価格設定の狙いは?
109シネマズプレミアム新宿が、 4月14日に東京都新宿区歌舞伎町にてオープンした。2019年8月1日の着工から、およそ3年半を経て運営がスタートした東急歌舞伎町タワーの9階、10階に内設されている109シネマズプレミアム新宿は、2フロアで計8スクリーンを常設。3面ワイドビューシアターScreenX、Dolby Atmos、フィルム上映のスクリーンが組まれている。そして、全席にプレミアムシートを完備。座席のサイズは一般的なシネコンの最大約2.3倍のゆったりシートで映画を満喫でき、塩・キャラメルの味ごとに豆の種類を変えたポップコーンとソフトドリンクを映画チケットのQRコードを提示するだけで受け取れる。今回、内覧会で体験した贅沢な映画体験を支配人のコメントとともにレポートする。
坂本龍一さんの“夢”が詰まった映画館
本シアターの一番の特筆すべき点が、坂本龍一さんが音響監修を手がけていること。リアルで自然なサウンドを生み出す音響システム「SAION –SR EDITION-」が全シアターに完備されている。109シネマズプレミアム新宿の総支配人を務める増永直人氏は「映画という全体の体験を特別なもの、ここでしかできないものにするために、映像表現や環境など様々なコンテンツがある中で、“音”の部分でこだわろうと思った時に、坂本さんとご縁をいただいた」と経緯を語る。東京都立新宿高等学校に通っていた坂本さんは新宿に思い入れがあった。本編前に約30秒の動画で使われる音楽「109 Shinjuku - Clarifier」は、坂本さんが「耳を洗ってぜひ没入してほしい」という思いを込めて作曲。シアターの構想段階から携わっていた坂本さんだが、本シアターへの来場は叶わなかった。坂本さんが信頼する音響チームが最後の調整を行ったという。
そして、もうひとつ、坂本さんたっての希望でつくられたのがフィルム上映用のスクリーンだ。増永氏は「業界としてはどんどんフィルム上映が貴重になっています。坂本さんに、ぜひ、フィルム上映を体験できるところを、そういったシアターを作っていただきたいという話をいただいて。私自身、映写を担当をしていたこともあり、もう一度フィルム上映をやってみたい、残したいという思いもありました」と語る。内覧会では体験映像として『戦場のメリークリスマス』が約4分上映され、久しぶりに観るフィルム映像に貴重な体験をした。今後のフィルム上映のラインナップとしては、「新作でフィルムが作られるのは限られているので、その中でもクリストファー・ノーラン監督などは、新作でもフィルムで作ってもらえるので、そういう作品は上映していきたい」とし、旧作については「フィルムが残っているものをどのようにして上映していくかというのは今後の課題です」と今後のラインナップにも期待が高まる。
ScreenXのオープニングラインナップには『BTS: Yet To Come in Cinemas』や『SEVENTEEN POWER OF LOVE : THE MOVIE』、『トップガン マーヴェリック』が並ぶ。「音響をいかすのは音楽のコンテンツが一番合ってはいる」と今後も音楽に特化した作品の上映に期待ができそう。東急歌舞伎町タワー全体と連動して、シアターとライブホール、劇場、ホテルを繋ぐなどの展開も考えているという。