『らんまん』万太郎が得た“気づき” 綾とともにジェンダーロールに苦しむ未来が来るのか

『らんまん』万太郎の得た“気づき”

 武家の子供・広瀬佑一郎(岩田琉生)に竹刀で叩きのめされる万太郎(小林優仁)。『らんまん』(NHK総合)第7話で、彼はさまざまな葛藤を抱えることになる。再び振り下ろされた竹刀を受けたのは、竹雄(南出凌嘉)だった。第2週が始まり、とにかく視聴者から人気の竹雄は今回の行動も男気があって、推せる。演じる南出凌嘉は、連続テレビ小説『純と愛』(NHK総合)でデビュー。その後、『あさが来た』(NHK総合)にも出演するほか、数多くのドラマや映画に出演してきた“ベテラン”である。

 そんな彼にいつも守られ、励まされる万太郎。タキ(松坂慶子)が綾(高橋真彩)にこぼしていたように、幼少期から身体の弱かった彼はとにかく“生きていてくれさえいればいい”という思いで育てられてきた。だから同じ年の周りの子に比べて精神的にも打たれ弱い。それ以上に、ずっと家の敷地の中で守られながら育ったからこそ、彼がこれまで享受してきた価値観や知識はいつだって“誰か”のものだった。武家の子供たちが、世の変わり目を意識して勉学に励むのに、“自分が勉強をしなくたって、周りの人がなんとかしてくれる”マインドでいる万太郎。祖母のタキが「先祖代々続けてきたことをそのまま続けろ」と言えば、何の疑問も持たずに続けることが正しいと考える万太郎に、水をかけてくる謎の男(寺脇康文)は問う、「おまんはどう思う?」と。

 自分の考え、自分なりの価値観を形成してこなかった彼は、その質問にもあまりピンとこず、答えられなかった。しかしその夜、姉の綾との会話の最中にあの男が言っていることを理解したのだ。

「おまんもしきたりにとらわれんと、今こそ変わる時なんじゃ」

 今の自分に求められていること。それは身体的・精神的な自立であることだと。初呑み切りの日に「峰屋」の当主としての務めを見事に果たしたが、全てはタキのお膳立てがあってのことで、今後年を重ねれば万太郎自身の意見が求められるようになる。その日が来る時までに、彼に必要なことは勉学を通して自分なりの知識と価値観、そして意見を身につけることだった。それに自覚したのは、綾が酒蔵に入ることが許されないという“しきたり”に疑問を抱いた瞬間である。

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