『舞いあがれ!』永作博美が背負う決断の重み 2023年に通じるリーマンショック後の光景

『舞いあがれ!』永作博美が背負う決断の重み

 リストラはする側も大きなストレスを抱える。しかし、めぐみは毅然とやり通す。そこには堅い決意が見えた。経営は無理だと観念し、会社売却に傾いていためぐみから迷いが消えたのは、浩太が残したIWAKURAを潰すべきではないと感じたからだ。そのこととリストラは矛盾するように思えるが、非情な決断は社員を守るためでもあった。

 リストラされる側は自身の存在を賭けて抵抗する。「嫌です」と拒絶したのは小森(吉井基師)だった。退職勧奨に強制力はなく、小森のように「辞めません」と拒む社員を解雇することは難しい。労働者の権利は守られなくてはならないが、めぐみと舞(福原遥)は小森にどんな言葉をかけるだろうか。

 『舞いあがれ!』はリーマンショック後の景気後退で東大阪の町工場が被った痛手を、そこで働く人々の目線から丁寧に描いている。この時期、全国各地で同じような光景が繰り返された。コロナ禍と物価上昇で先の見えない日々を送る私たちにも見過ごせない内容だった。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『舞いあがれ!』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:福原遥、横山裕、高橋克典、永作博美、赤楚衛二、山下美月、目黒蓮、長濱ねる、高杉真宙、山口智充、くわばたりえ、又吉直樹、吉谷彩子、鈴木浩介、高畑淳子ほか
作:桑原亮子、嶋田うれ葉、佃良太
音楽:富貴晴美
主題歌:back number 「アイラブユー」
制作統括:熊野律時、管原浩
プロデューサー:上杉忠嗣
演出:田中正、野田雄介、小谷高義、松木健祐ほか
主なロケ予定地:東大阪市、長崎県五島市、新上五島町ほか
写真提供=NHK

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる