『Dr.コトー診療所』は何年経っても色褪せない 時代を先取りしていた“へき地医療”の問題

時代を先取りしていた『Dr.コトー』

 劇場映画の公開を記念して、『Dr.コトー診療所』(フジテレビ系)の全シリーズを網羅したコンプリートBlu-ray BOXが発売された。『Dr.コトー診療所』は山田貴敏の同名漫画(小学館)を原作とする医療ドラマ。物語は、沖縄県八重山列島にあるとされる架空の島・志木耶島に外科医のコトー先生こと五島健助(吉岡秀隆)が漁船でやってくる場面から始まる。島には診療所がひとつしかなく、駐在する医師もすぐに辞めてしまう。島の住民も大きな病気を患った時は、船で6時間かかる本土の病院に通うことが当たり前となっている。

 そのため、コトー先生も当初は島民からの信頼を獲られずに苦労するのだが、島民と誠実に向き合い、医療設備が十分とは言えない診療所で困難な手術に取り組むことで、少しずつ信頼を獲得していく。

 物語は一話完結の医療ドラマとなっている。同時に、本作は志木耶島で暮らす島民たちの葛藤や人間模様を描いた群像劇としても楽しめる。

 そして、この重厚なヒューマンドラマを支えるのが、ロケ地となっている与那国島と、島を取り囲む海の美しい風景だ。

 島での撮影だからこそ可能な、空間の広がりが感じられる壮大な映像が本作の節々に登場するのだが、風景を観ているだけでも心地良い。

 エンドロールで流れる、望遠で撮られたコトー先生が自転車で道路を走る映像は、中島みゆきが歌う主題歌「銀の龍の背に乗って」の迫力も相まって感動的で、胸がいっぱいになる。

 2003年に連続ドラマが放送された後もシリーズ化され、2004年には『特別編』と『Dr.コトー診療所2004』という前後編のSPドラマとして放送され、2006年には連続ドラマ第2期となる『Dr.コトー診療所2006』が放送された。

 そして12月16日には、16年ぶりの新作となる劇場映画が公開となるのだが、月日の流れとともに島の人々の生活や心情が変わっていく姿を捉えたドキュメンタリー性も本作の隠れた魅力だ。それは当時の子役が成長していく姿に強く表れている。

 当時10歳だった神木隆之介と、現在は俳優業を引退している富岡涼が映画に出演することが報じられているが、子役の成長と物語が結びつく様子は、コトー先生を演じる吉岡秀隆が出演していた倉本聰・脚本のテレビドラマ『北の国から』(フジテレビ系)を彷彿とさせる。

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