『ちむどんどん』なぜ歌子の診断の決心は遅れたのか? 当時の沖縄の医療状況を顧みる

『ちむどんどん』歌子の診断が遅れた理由

 本日6月13日放送の『あさイチ』(NHK総合)にはゲストとして、朝ドラ『ひよっこ』(NHK総合)のナレーションとしてもお馴染みの増田明美が登場。『ちむどんどん』(NHK総合)第46話の朝ドラ受けは、料理長の二ツ橋(高嶋政伸)がフォンターナを辞めるかも問題から、ストーブ前を任せられるもメインディッシュをアルミホイルごと丸焦げにしてしまう矢作(井之脇海)、さらには歌子(上白石萌歌)の心配な病気についても派生した。

 運送会社・普久原運輸の事務として働いていた歌子だったが、子供時代からの体調不良が再発し、会社を休みがちになっていた。歌子を気にかけ比嘉家にお見舞いにやって来る会社の社員・花城(細田善彦)の存在に、良子(川口春奈)が「ただの同僚のこと、あんなに心配する? 今度会社に行ったら告白されるかもよ? “歌子さん、僕と結婚してください”、彼は絶対本気だよ」と言葉をかけ、歌子も「ウフフッ」とまんざらでもない様子だ。

 だが、いつまでも悠長なことを言っていられる状況でもなく、優子(仲間由紀恵)は歌子を大きな病院で検査を受けさせることを決心する。暢子(黒島結菜)との電話でのやり取りでは「急に悪くなったわけじゃないけど診療所の先生も、ちゃんとした設備のある病院で診てもらった方がいいって」と東京で検査を受けることを後押しされているようだ。

 当時の沖縄の医療状況を調べてみると、物語の1976年には那覇市に県内初の夜間外来、24時間救急診療体制を実施する沖縄協同病院が開設されている(※1)。内科・小児科・外科・歯科、病床数139床(職員130人、組合員5,350人)という少なくとも当時としては“ちゃんとした設備のある”病院ではあるだろう。ただその一方で、長年受診するのに多額の現金が必要だった沖縄の根強い医療不信があったようで、そのような背景もあり歌子を連れて東京へいく決心を優子は固めたのかもしれない(※2)。

 だが優子には直近でも賢秀(竜星涼)に15万円を送金してしまった過去があり、「もっと早くちゃんとした検査を受けさせてればよかったと後悔しているさ」という言葉が虚しく響くのも事実である。

参照

※1. http://oki-kyo.jp/about/history.html
※2. https://www.min-iren.gr.jp/?p=4783

■放送情報
連続テレビ小説『ちむどんどん』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
主演:黒島結菜
作:羽原大介
語り:ジョン・カビラ
沖縄ことば指導:藤木勇人
フードコーディネート:吉岡秀治、吉岡知子
制作統括:小林大児、藤並英樹
プロデューサー:松田恭典
展開プロデューサー:川口俊介
演出:木村隆文、松園武大、中野亮平ほか
写真提供=NHK

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