吉岡里帆、役者としてのポリシーは“パワーを届けること” 「どんな作品に出演するかが大事」
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直木賞&本屋大賞受賞作家・辻村深月による同名小説を『水曜日が消えた』の吉野耕平監督が映画化した『ハケンアニメ!』。アニメ業界を舞台に、新人監督とその仲間やライバルたちが切磋琢磨する模様を描いた本作において、主人公となる新人アニメ監督・斎藤瞳を演じたのは、『ホリック xxxHOLiC』での好演も記憶に新しい吉岡里帆だ。「自分にとっても奇跡的な映画」だと語る本作を通して、仕事をする上でのポリシーや超えたい過去の自分について語ってもらった。【インタビューの最後には、サイン入りチェキプレゼント企画あり】
「どんな作品に出演するかがとても大事」
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ーー約1年ぶりの主演映画となりますが、手応えはいかがですか?
吉岡里帆(以下、吉岡):主役の斎藤瞳を演じさせていただいたのですが、瞳ひとりの物語というよりも、純粋に群像劇としておもしろい映画になったと思います。大勢のキャストの方々の個性が絶妙に煌めいていて、なおかつ映画の中で2本のアニメが観られるという贅沢さ。こんな映画は今後もう出てこないのではないかと思うような、自分にとっても奇跡的な映画が完成したと思っています。
ーー確かに、劇中のアニメを含め今まで観たことのないような映画でした。
吉岡:自分がやりたかったことの一つが形になったような作品になりました。この業界で働いていると、他部署の人たちのカッコよさに気付くことがよくあるんです。撮影部、照明部、録音部、宣伝部、プロデューサーなど……あらゆる仕事、あらゆる業種の方の努力によって、いつも安心してドラマを観られたり、映画館で映画が上映されている。その奇跡をじっくり映画で描けたのは本当に光栄で、そこに一番手応えを感じています。
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ーー映画を観て、“仕事をする上で何を大切にするか”ということを改めて考えさせられました。吉岡さんは役者という仕事において、何か大事にしていることやポリシーはありますか?
吉岡:私自身、エンタメ作品に救われたり、日々元気をもらっていて。だから、そういうパワーを作品を通して届けられるようになりたい、というのが常日頃の夢で、いつも意識しています。私にとっての「エンタメっていいな」と思う瞬間のひとつが、作品を観て「そうきたかー!」とワッと湧き上がるようなワクワクを感じるときなんです。私もそういう作品を作っていきたいですし、そのために自分自身も日々変化していかなければいけないなと感じます。映画は娯楽なので、観てくださる方にとって、少しでも“癒やし”になればいいなと思いながらやっています。
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ーー作品においての驚きや意外性、そして癒やしがポイントだと。
吉岡:はい。なので、どんな作品に出演するかがとても大事だなと思っています。現場に入ってしまえば、私は監督が作りたいものを具現化する一人の役者になるので、自分の声と体をもって何を伝えたいかは、作品を決めるときに慎重に考えていて。その役を通して何を伝えられるのか、その作品の目標やゴールはどこなのか、毎回ちゃんと考えるようにしています。いままでは、悩みや繊細さを持ってる人に、「君は一人じゃないよ」ということを伝えられたらいいなと思いながら役を選ぶことが多かったんですが、最近は、自分自身ももっと強さを持って、皆さんを温かいほうに引っ張っていけたらいいなと思うようになりました。私自身も誰かが力強く進んでいく姿にたくさんの勇気をもらうので、そういう役者になりたいと思い始めたんです。今回の『ハケンアニメ!』は特にそうですが、悲しみや辛さといった痛みの共有も大事だけれど、痛みのその先のステップというか、痛みを負ってそこからどう成長するか、成長の振り幅を見せることができたらいいなと思って臨みました。