『悪女(わる)』麻理鈴のピュアさが与えてくれる明日を生きる元気 “働く”ことの意義とは

『悪女(わる)』にみる“働く”ことの意義

 今週も、底抜けに明るい麻理鈴(今田美桜)に、活を入れられたような気がする。どんな仕事にも前向きに取り組む彼女のピュアさが、明日を生きる元気を与えてくれるのだ。

 4月27日放送の『悪女(わる)~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~』(日本テレビ系)第3話は、タイトルにもある“働く”ことの意義を考えさせられる回だった。

 そもそも、人はなぜ働くのだろう。生活を維持するため? それとも、お金を貯めたいから? 最初はたくさんの希望を抱いていても、大抵の人はだんだんと“割り切る”ことを覚えてしまう。だって、そうでもしないと、腑に落ちない瞬間がたくさんやってくるから。

悪女(わる)~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~

 麻理鈴が異動した「マーケティング部」で、指導係となった梨田(石橋静河)も、“仕事はお金を稼ぐ作業”と割り切りながら働いていた。梨田が所属するリサーチチームは、「マーケティング部」のなかで“おまけ”と呼ばれている部署。誰でもできる仕事で、別になくなっても困らない。そんなふうに扱われるうちに、頑張ることを諦めてしまったのだ。

 梨田は、わざと心にシャッターを下ろしているように見える。小野忠(鈴木伸之)から、無理難題を押し付けられても、「揉めると、定時に帰れなくなるから」と納得するフリをする。やりがいが見つけられなくても、「激務に追われるよりは全然いい」と自分に言い訳をして。麻理鈴に、「仕事なんだから、好きも嫌いもないでしょ」と言ったのは、自分を納得させるためでもあったのではないだろうか。仕事にやりがいを感じている人なんていないと思えば、虚しくならずにすむから。

 たしかに、“省エネ”で働く人は、年々増えているのかもしれない。働き方が大きな転換期を迎えているいま、働くこと以外にやりがいを見出している人も多い。会社がすべてだった時代よりも、プライベートを重視する人も増えてきている。

悪女(わる)~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~

 しかし、そんな時代と逆行しているのが、麻理鈴だ。彼女は、「仕事をしなくても、お給料をもらえるなんて最高!」とは思わない。入社時に配属された窓際部署で、仕事を与えてもらえなかった時には、「田中、仕事がしたいんです!」と峰岸(江口のりこ)に猛アピールをしていた。たとえ面倒くさい仕事を与えられても、全力でやり遂げる。峰岸は、その姿に心を打たれて、“出世100か条”を託すことを決めたのかもしれない。

 麻理鈴の一生懸命さは、“省エネ社員”こと梨田の心も動かしていく。リサーチチームが存続の危機にあると知った麻理鈴は、梨田とともに生き延びる方法を考える。2人が生み出した秘策は、社長ジュニアの友人が作っているすっぽんを、ヒットさせること。最初は、「おまけのチームらしく、節度をわきまえないと」と言っていた梨田だが、だんだんと一生懸命働くことの楽しさを思い出していく。

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