『名探偵コナン 緋色の弾丸』ファン必見の4つのポイント 最新作に繋がる進化と不変の魅力

『緋色の弾丸』ファン必見の4つのポイント

シリーズ最大規模のアクションとディザスター

 3つ目は、劇中で描かれるアクションとディザスターだ。本作終盤で起こるある事件は、これまで様々な事件・事故が描かれてきた劇場版シリーズの中でも最大規模の大惨事を引き起こすこととなる。何が起こるかはぜひ放送を観ていただきたいところだが、コナン、それも劇場版ならではのスケールとアニメだからこそ可能な表現を限界まで突き詰めたディザスターであるとともに、そんな惨状の中でも誰も死なせまいと最後まで奮闘するコナンらのアクションシーンに注目してほしい。

 キャラクターに焦点を当てたファンムービー、現実世界とリンクしたテーマ、壮大なアクションとディザスター。これらは『緋色の弾丸』に限らず、特に近年の劇場版コナン作品を構成する大きな要素だ。これらの要素がそれまで以上により全面に押し出されたのは恐らく2018年に公開された『名探偵コナン ゼロの執行人』のヒットがキッカケだろう。

 『ゼロの執行人』は人気キャラクターの安室透にスポットライトを当てたことで一種の社会現象まで巻き起こした作品であり、近年の社会問題であるIoTテロをテーマとし、無人探査機を巻き込んだ壮大なディザスターとアクションが特徴的な作品となっている。キャラクターの求心力を底上げ、現実世界で起きている事象を描き、壮大なディザスターとアクションで展開していくという構成は、奇しくもこれまで記してきた通り『緋色の弾丸』にも通じるものがある。

 『緋色の弾丸』は『ゼロの執行人』の成功を踏まえた作品であり、この2作が近年のコナン映画を語る上で重要なものであることは間違いないだろう。そして、この構成は現在公開中の『ハロウィンの花嫁』にも繋がってくる重要なファクターだ。『ゼロの執行人』から『緋色の弾丸』、そして『ハロウィンの花嫁』という流れで観てみるとコナン映画の進化と不変の魅力を感じるはずだ。今夜放送の『緋色の弾丸』を契機に、点ではなく線でコナン映画を鑑賞してみてはいかがだろう。

実在する名古屋市内外の名スポットが登場

 そして愛知に住むカルチャーライターの私にとって外せない、本作のもうひとつの魅力。それは名古屋・愛知の観光映画である点だ。以前より劇場版『名探偵コナン』では日本各地や世界各国が物語の舞台とされてきた。例えば『名探偵コナン 迷宮の十字路』や『名探偵コナン から紅の恋歌』では京都が、『名探偵コナン 群青の拳』ではシンガポールが描かれてきた。

 本作では中盤からクライマックスにかけて、物語の舞台は名古屋となり、実在する名古屋市内外の様々なスポットが描かれる。名古屋のランドマークである名古屋城やその城下に軒を連ねる金シャチ横丁、東海地方随一の繁華街である栄エリアとその象徴であるオアシス21。さらに中部国際空港セントレアをモチーフとした空港や名港トリトンと呼ばれる3つの大橋など。作中で描かれるスポットは実に様々。今夜の『金曜ロードショー』を観て、週末は名古屋でコナンたちの足跡を辿ってみてはいかがだろう。

■放送情報
『名探偵コナン 緋色の弾丸』
日本テレビ系にて、4月22日(金)21:00~23:14放送
原作:青山剛昌
監督:永岡智佳
脚本:櫻井武晴
音楽:大野克夫
声の出演:高山みなみ、山崎和佳奈、小山力也、池田秀一、浜辺美波
(c)2020 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

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