『名探偵コナン 緋色の弾丸』ファン必見の4つのポイント 最新作に繋がる進化と不変の魅力
『名探偵コナン 緋色の弾丸』が、4月22日21時より日本テレビ系『金曜ロードショー』で放送される。これは現在公開中の劇場版最新作『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』を記念して放送されるもので、同作品としてはテレビ初放送となる。昨年大ヒットした『緋色の弾丸』の本編ノーカット放送ということで注目しているファンも多いことだろう。本記事では放送に先だって『緋色の弾丸』の4つの魅力について考察したいと思う。
まずは『緋色の弾丸』の簡単なあらすじから紹介したい。世界的なスポーツの祭典「ワールド・スポーツ・ゲームス(WSG)」が東京で開催され、開催に伴い名古屋と東京を結ぶ真空超電導リニアの開通も決定する。そんな中でWSG大会スポンサーを狙った拉致事件が発生。以前も米国で同様の事件が発生していたことから、その関係性を探り、日本警察だけでなくFBIも事件の捜査に乗り出す。WSGの開会式と合わせてリニアの初走行が行われる名古屋で次の事件が起こると推理したコナンたちは名古屋へ向かう……。
キャラクターの魅力を掘り下げる良質なファンムービー
あらすじを紹介したところで、早速『緋色の弾丸』の魅力を紹介したい。ひとつ目はファンムービーであるということ。本作は『名探偵コナン』屈指の人気キャラである赤井秀一を軸に、その家族である世良真純、羽田秀吉、メアリー・世良のいわゆる赤井ファミリーの4人を中心にストーリーが進行する。アニメ本編、そして原作でもまだまだ謎の多い4人がそれぞれのやり方で事件を解決に導き、活躍するさまは、これまで『名探偵コナン』という作品を追ってきたファンであればあるほど必見だ。特に注目なのは沖矢昴として変装をしている赤井秀一と世良真純の戦闘シーンだろう。ジークンドーの使い手である両者のアクロバティックな対決は手に汗握る緊張感に満ちている一方で、赤井がFBIとしての任務遂行のため、家族である真純にすら自分の正体を明かせない切なさも感じてしまう瞬間だ。
また、今作で活躍するキャラクターは赤井一家だけではない。主人公であるコナンと、その相棒たる存在の灰原のサポートによる絶妙なコンビネーションにも注目されたい。本作では全編を通してコナンと灰原の阿吽の呼吸で捜査を進めていく様が描かれる。特にストーリー中盤で発生する追跡劇の最中、コナンが灰原に伝えるとあるセリフに注目してほしい。これは灰原に絶対の信頼を寄せているコナンだからこその名セリフで、この『緋色の弾丸』という作品のバディものとしての精度をグッと高めている。各キャラクターにしっかりと焦点を当て、その魅力を深める描写を散りばめた本作はとても良質なファンムービーとなっている。
オリンピック、超電導リニア……現実世界との強固なリンク
2つ目の魅力は、フィクションでありながらも現実世界と強固なリンクをさせている点。本作のストーリーで重要な要素である「ワールド・スポーツ・ゲームス(WSG)」の設定は、鑑賞した誰しもが昨年開催された東京オリンピックを想起するだろう。真空超電導リニアは、現在実際に東京―名古屋間で開通のための工事が行われている超電導リニアを思い起こす。フィクションでありながらも、現実の世界でも起きているような事象が展開される、現実の映し鏡のような作品となっている。
本作は新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、劇場公開が1年延期となってしまった。結果として、それが同じく感染拡大の影響で開催が1年延期となったオリンピックと重ね合わせてしまうファンも多いことだろう。劇場公開時はオリンピック開会前であったが、オリンピックの開会式を経験した今改めて観ることで、よりこの作品のリアリティが増し、当時劇場で観たファンもより違った趣で鑑賞することができるはずだ。細かい部分で言えば、作中で描かれるWSGの競技場が、東京五輪のメイン会場であった新国立競技場の元々の改修案、いわゆる「ザハ案」を想起させるデザインとなっており、制作陣のそんな目配せにも思わずニヤリとしてしまう。