『呪術廻戦』がテレビに帰ってくる! 劇場版からの人に伝えたい「呪胎戴天編」の見どころ
アニメ『呪術廻戦』がテレビに帰ってくる。4月3日からテレビシリーズの第1期が、毎週日曜17時にMBS・TBS系で放送開始。興行収入が131億円を突破した『劇場版 呪術廻戦 0』を観てシリーズへの興味を持った人は、劇場版に負けない深いドラマや激しいバトルに触れて、作品世界へと引きずり込まれることになるだろう。
壁一面にお札が貼られた不気味な部屋で、ひとりの男子高校生が目を覚ます。名前は虎杖悠仁。目の前には目隠しをした男がいて、虎杖に向かって「今の君はどっちなのかな?」と話しかけてくる。テレビシリーズ『呪術廻戦』の第1話「両面宿儺」の冒頭だ。
『劇場版 呪術廻戦 0』を観た人なら、目隠しの男が五条悟という名前の特級呪術師で、同じようにお札だらけの部屋で、乙骨憂太という少年に話しかけていたシーンを思い出すだろう。乙骨は祈本里香という女の子の怨霊に取り憑かれていて、乙骨をいじめようとした同級生に里香が大けがを負わせる事件を起こしていた。お札だらけの部屋には、そんな里香の顕現を抑える力があった。
ということは、虎杖も乙骨と同じように何か怨霊のようなものに取り憑かれていて、その力を封印するために、お札だらけの部屋に閉じ込められているのか。『劇場版 呪術廻戦 0』からシリーズに入った人には、テレビシリーズの冒頭からそんな想像が浮かぶだろう。今回の再度放送で初めて『呪術廻戦』に触れる人は、五条から「君の秘匿死刑が決定した」と告げられる虎杖が、いったい何をしでかしたのかと思いそうだ。
この後、アニメは時間を巻き戻して、芥見下々による原作漫画『呪術廻戦』の冒頭に描かれる、高校の心霊現象研究会で虎杖が先輩たちと「こっくりさん」をしている姿を見せ、文化系の主人公かと思わせる。ところが直後に、陸上部にしつこく勧誘してくる顧問を相手に砲丸投げ勝負で圧倒する虎杖の姿が、これはただ者ではないと感じさせる。
7.2キロはある砲丸を野球のように上から投げて30メートルは飛ばすパワーの持ち主が、ただの人間とはちょっと思えない。この後、病院へと祖父の見舞いに行った虎杖に、祖父が彼の両親について何か明かそうとしていたことが、虎杖というキャラクターにとって重大な意味を持ってくるから要注意だ。
結局、祖父は虎杖に両親について話さないまま、「オマエは強いから人を助けろ」と言って息を引き取る。そして、悲しみを噛みしめていた虎杖に、伏黒恵と名乗る少年が接触して来て、“呪物”というものの所在を尋ねて来る。それならオカ研の先輩たちが、学校に残って封印を解こうとしていると答えた虎杖は、伏黒から全員死ぬと脅され一緒に夜の学校へと駆けつける。
伏黒の予想通り、得体の知れない化物に襲われていた先輩や、苦戦していた伏黒を助けようした虎杖がとった行動が、彼を異能の力が飛び交い、化物たちがうごめく呪術の世界へと引きずり込む。
『劇場版 呪術廻戦 0』の乙骨と同じように拘束され、死刑を言い渡されるほどの危険な存在となった虎杖は、これも乙骨と同じ東京都立呪術高等専門学校に入って、呪いを祓うための勉強をし、実際に呪いを祓いに行くようになっていく。呪術高専の夜蛾正道学長を相手にした問答で、悠仁が戦う理由を改めて自覚する流れは、何をやるにも他人のせいなり状況のせいにしてしまいがちな心情に釘を刺し、自分で決断する大切さを感じさせてくれるだろう。
以上が『呪術廻戦』の導入部。第3話「鉄骨娘」では、伏黒に加えて同じ1年生の釘崎野薔薇が登場する。さばけた性格と口の悪さがありふれたヒロイン像とは違った魅力を醸し出す。彼女が繰り出す術式にも注目だ。金槌と五寸釘と藁人形という、いかにも呪いのアイテムといったものを駆使して、体術だけの虎杖や、動物の式神を使う伏黒とは違った祓い方を見せてくれる。