稲垣吾郎が持ち続ける自分への探究心 舞台に夢中だった20年前を回顧する
「ずっと魅力的でありたい」
――今回、鈴木さんは「大人の渋さを身に着けた稲垣さん」とコメントされています。渋さを身に着けた自覚はありますか?
稲垣:まったくないです。なんだったらもともと渋いんです(笑)。昔から変わってないというか、10代、20代のときは背伸びして大人ぶっていたんです。それに今は追いついたのかな?
――20年前、稲垣さんは舞台をやっているとき何を考えていましたか? また、俳優としてどこを目指していましたか?
稲垣:本格的に舞台をはじめてまだ5、6年だったかな(本格的な舞台に立ったのが1996年『夜曲』)、舞台の魅力に夢中でした。当時は、僕にとって一番大きな核がグループ活動で、それがあっての僕だったから、そこに命を賭けないといけなかった。それがすべてではあったのですけれども、その一方で、僕のなかでは俳優という仕事に興味が沸いていました。10代のときから芝居をやって、芝居を続けていきたいと思うようになっていました。それまではRUPという制作会社の企画でつかこうへいさんの芝居(『広島に原爆を落とす日』1997、1998年)をやったりして、それらが刺激になってもっといろいろな作品をやりたいと意欲的な時期でした。その後、鈴木さんの脚本に出会うんです。鈴木さんはラッパ屋という劇団で小劇場を主戦場で活動している方で、僕がこれまでやったことのないテイストの作品や今まで共演したことない俳優さんと芝居をすることがすごく楽しかったし、俳優としてこれからの希望に満ちていましたね。
――たしかに当時からちょっと通な作品をやっていらっしゃいました。その素養に今は説得力が増した印象ですね。
稲垣:いやいや、自分じゃ全然わからないです。ただ、ずっと魅力的でありたいと思います。渋いとかきれいとかは人それぞれの価値観だから、あんまり自分では意識してないです。ただ年相応な男でいたいとは思っています。その一方で、若くもありたいと思います。この年齢だからやれる役もありますが、若い役もやらないといけないこともありますよね。それが俳優ですから。幅は広いほうがいいですよね。そういう意味では今の年齢って、この老け役から若い役までどちらもできる気がします。例えば、ベートーヴェンは28歳から56歳まで演じました。舞台は年齢の幅を広く演じることのできる場ですよね。テレビドラマでも今度の辻潤は20代から演じています。どんな役が来てもいつでもできる、そういう肉体と心の準備はしていきたいと常に思っています。
――10代はやれますか?
稲垣:10代……う〜ん……後半はできるかも。前半は子供の演技になっちゃうからな(笑)。
――若い精神と肉体はどうしたら得られますか。
稲垣:常に自分と向き合うことーー自分に興味を持ち続けることが大切かな。基本的なきちんとした生活を心がけること。運動や美容も含め、ある種のナルシズムも必要だと思います。同時に、外の世界にも興味を持つべきですよね。いろいろな人と出会い、音楽やエンタメなどに触れることが大事です。あとはなんといっても、恋するってことですね。
■公演概要
モボ・モガ プロデュース ミュージカル・コメディ『恋のすべて』
東京建物Brillia HALLniteにて2月11日(金・祝)~27日(日)
出演:稲垣吾郎、花乃まりあ、石田ニコル、松田凌、北村岳子、羽場裕一
作・演出:鈴木聡
ミュージカル・コメディ『恋のすべて』公式サイト:https://koinosubete.com/