『スパイダーマンNWH』日米で年始からヒット ピクサー新作は劇場公開断念で業界に変化?

オミクロン株、北米興行収入に大きな影響?

 ついに『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』が日本公開を迎えた2022年1月7日~9日の週末は、北米でも“親愛なる隣人”旋風が依然として続いた3日間となった。

 北米興行収入ランキングの首位は、『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』が4度目の首位を堅守。週末興収成績は3301万ドルと前週からは41.1%減となったが、前回の2~3週目が37.7%減だったから、下落率として大きな変化はない。そもそもランキングを俯瞰すれば、大晦日からお正月にまたがった前週とは異なり――オミクロン株の感染拡大の影響もあろう――今週末は成績の下落率が全体的に大きくなっているのだ。

 第2位の『SING/シング:ネクストステージ』は1195万ドルで、前週比−40.7%(前回は−9.7%)。第4位『キングスマン:ファースト・エージェント』は327万ドルで、前週比−28.3%(前回−22.8%)。第5位『American Underdog(原題)』は241万ドルで前週比−38.2%(前回-33.3%)。第6位『マトリックス レザレクションズ』は186万ドルで前週比−51.4%。ただし同作は前回が−64.4%の大幅下落だったため、むしろ健闘した結果となった。第7位『ウエスト・サイド・ストーリー』は141万ドルで前週比−34.8%である。

 『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』の北米興収成績は6億6875万ドルで、『タイタニック』(1997年)を超えて歴代第6位となった。第5位『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018年)の6億7881万ドルを抜き去るのも時間の問題だ。全世界興収成績は15億3625万ドルで、『アベンジャーズ』(2012年)を抜いて歴代第8位となっている。

 ちなみに米Deadlineによれば、『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』は日本で1180万ドル(約13億6600万円)のオープニング興収成績を記録(最終数値は公式発表を待ちたい)。これは『劇場版 呪術廻戦 0』の初動成績16億2200万円を追う勢いだから、ファンの心境を別にするならば、強豪を避けて公開を年始に回す作戦は(興行的には)ひとまず功を奏したと言えるのではないか。

 いずれにせよ確かなことは、『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』が、世界的にオミクロン株の脅威が認められる中、人々を劇場へ向かわせる大きな動機となったということだ。コロナ禍以前と同等の大ヒットはまさしく快挙だが、これは特例中の特例だろう。この情勢下において、これほどの“お祭り感”を演出することに成功した企画と広報の全面勝利である。

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