『最愛』はこれまでの“イヤミスドラマ”を超える一作になる?

『最愛』は過去のイヤミスドラマを超える?

 『最愛』は原作を持たないオリジナル作品で、現時点では奥寺佐渡子と清水友佳子の名前が脚本にクレジットされている。とはいうものの、初回放送直後から『Nのために』と同じ空気を受け取った視聴者は多く、筆者もその1人だ。飛騨高山の美しい風景、10代の淡い恋、そこで起きる事件、東京で再会する初恋の相手、そして現在と過去とがクロスしながら進む展開。第1話の途中で湊かなえが新刊を出したのかと調べたほどである。

 このどこか『Nのために』を想起させられる構成や雰囲気は、『Nのために』をはじめ、『夜行観覧車』『リバース』でもチーフ演出を務めた塚原あゆ子と、同じく3作品でプロデュースを担った新井順子との“イヤミスドラマ黄金タッグ”の存在が大きいと推測する。

 誤解を生まないよう書いておきたいのだが『最愛』は湊かなえ原作ドラマの薄い焼き直しや4匹目のドジョウではなく、これまでの“イヤミスドラマ”を超える可能性を秘めた作品に見える。第4話では梨央の生き別れの弟・優(高橋文哉)が2021年の殺人事件の犯人とも思える動画が登場し、第5話からさらに物語が大きく動く模様。

 これまでの“イヤミスドラマ”のDNAを強く受け継ぎながら、オリジナル作品として新たな道を歩む『最愛』。手練れの俳優たちが紡ぐ複雑な人間ドラマにどっぷり浸っていきたい。

■放送情報
金曜ドラマ『最愛』
TBS系にて、毎週金曜22:00~22:54放送
出演:吉高由里子、松下洸平、田中みな実、佐久間由衣、高橋文哉、奥野瑛太、岡山天音、薬師丸ひろ子(特別出演)、光石研、酒向芳、津田健次郎、及川光博、井浦新
脚本:奥寺佐渡子、清水友佳子
プロデュース:新井順子
演出:塚原あゆ子
編成:中西真央、東仲恵吾
主題歌:宇多田ヒカル(ソニー・ミュージックレーベルズ)
製作:TBSスパークル、TBS
(c)TBS

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