『日本沈没』“関東沈没”報道に世間困惑 小栗旬らが体現するリーダー像

『日本沈没』 小栗旬ら体現するリーダー像

 国民に人気のある東山を神輿に担ぐ一方で、虎視眈々と権力を狙っているのが里城だ。財界に太いパイプを持つ里城は、関東沈没の危機に際して、経済を優先すべきだと主張する。利権政治を象徴する里城は政治家としての嗅覚にも優れている。国民へのアピールになると考えれば、財界に協力を呼びかけるなどスタンドプレーもいとわない。保守的な側面が強調される里城を、利益代表としてのリーダーシップと言い換えることも可能だろう。

 形だけのリーダーや利権を代表する政治家に対して、天海にもある種のリーダーシップが認められる。天海の場合、それは人を動かすこととして発揮される。政府と国民を向こうに回し、マスコミを巻き込んで大芝居を打つ。東山や里城の懐に飛び込み、自身のアイデアを形にしてしまう天海は、官房長官の長沼(杉本哲太)に感心されるような大胆さが持ち味だ。しかし、それは時に相手に「強引である」とも感じさせる。

 人を喰ったような天海の手法はハッタリと紙一重である。もし関東沈没が起きなかったらどうするのかと椎名に問われて、「みんなで笑って乾杯すればいい」と答えたように、天海は無責任なのかあるいは勇気があるのか、腹の底が読めないところがある。政治家を志す天海は東山や里城、生島(風間杜夫)さえも自身の道具として見ている節があり、そんな天海が常盤(松山ケンイチ)に対してだけは自身の手法を封印しているのは興味深い。それは常盤のことを人間として認めているからだが、その常盤によって天海は未来推進会議を追われることになる。

■放送情報
日曜劇場『日本沈没―希望のひと―』
TBS系にて、毎週日曜21:00~21:54放送
出演:小栗旬、松山ケンイチ、杏、ウエンツ瑛士、中村アン、高橋努、浜田学、河井青葉、六角慎司、山岸門人、竹井亮介、高野ゆらこ、与田祐希(乃木坂46)、國村隼、小林隆、伊集院光、風吹ジュン、比嘉愛未、宮崎美子、吉田鋼太郎(特別出演)、杉本哲太、風間杜夫、石橋蓮司、仲村トオル、香川照之
ナレーション:ホラン千秋
原作:小松左京『日本沈没』
脚本:橋本裕志
プロデュース:東仲恵吾
製作著作:TBS
(c)TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/nihon_chinbotsu_tbs/
公式Twitter:@NCkibou_tbs
公式Instagram:nckibou_tbs

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