『日本沈没』“関東沈没”報道に世間困惑 小栗旬らが体現するリーダー像

『日本沈没』 小栗旬ら体現するリーダー像

 関東沈没が半年以内に起きると天海(小栗旬)と椎名(杏)が新聞にリークしたことで、世間の注目は一気に関東沈没に集まった。連日のようにワイドショーが報道し、極秘裏に対策を進めようとしていた官邸の目論見は崩れる。追い討ちをかけるように東山総理(仲村トオル)が緊急の記者会見を開くというニュースが飛び交う。

 『日本沈没-希望のひと-』(TBS系)第4話では、危機に臨むリーダーのあり方に光が当たった。「この危機を伝えた時、国民はどう反応するのか。私は怖い」。国民の命を預かる首相として、東山の危惧はもっともである。本当に起きるかわからない不確実に対して、無用な混乱を招かない配慮はリーダーに必要なものだ。一方で、しかるべきタイミングで最小限の情報を提示し、社会の秩序をコントロールするという考えには民主主義に逆行する危険がある。実際に「国民に寄り添ったガラス張りの政治」を信条とする東山は、国民への公表に踏み切る。しかし、それは諸刃の剣でもあった。

 仲村トオル演じる東山は、本作で誠実な人物として描かれている。若手官僚で構成される日本未来推進会議を発足させ、霞ケ関との連携を強化するなど実行力のある政治家といえるだろう。東山のアキレス腱は脆弱な党内基盤であり、自身を担ぐ里城(石橋蓮司)の意向に逆らうことができない。持ち前のリーダーシップを十分に発揮できず、忸怩たる思いを抱いているのが東山だ。

 映画『ビー・バップ・ハイスクール』やドラマ『あぶない刑事』(日本テレビ系)を知る往年のファンにとって、今なお「若手」のイメージが強い仲村であるが、近年は管理職や社長などの役柄も増えてきた。『ラストチャンス 再生請負人』(テレビ東京)の樫村や『BG~身辺警護人~』(テレビ朝日系)の劉は社長で、『家売るオンナ』(日本テレビ系)の屋代は課長(のちに部長に昇進)だが、キャラクターの性格も会社組織との向き合い方もまったく異なる。実社会に生きるリアリティを体現してきた仲村は、『日本沈没』では、関東沈没という外的要因と党内の抵抗勢力という二重の脅威にさらされる東山を力演。不安定な足場で必死にバランスを取る東山が、迫りくる現実を前にどのように豹変するか注目だ。

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