ウエンツ瑛士が『日本沈没』で感じた“言葉の力” 「言った人の生き様が出る」

ウエンツ瑛士が『日本沈没』で感じた言葉の力

 2021年10月、日曜劇場で『日本沈没ー希望のひとー』(TBS系)がスタートした。原作は小松左京の『日本沈没』。1973年の刊行以来、ドラマ、映画、アニメ、漫画と、時代を反映しながら様々な形で作品となってきた不朽の名作が、“2023年の東京“という少し未来を舞台に描かれる。高度経済成長の終焉を迎えた刊行当時とは、また別の意味で先の見えない状況に立たされている現代日本。果たして、本作で描かれる「見出していく希望」とは――。

 主演を務めるのは、小栗旬。各省庁の若きエリートたちが集う「日本未来推進会議」に環境省代表として参加している天海啓示を演じる。そして、未曾有の危機に直面する総理大臣・東山栄一役を仲村トオルが、いち早く日本沈没に警鐘を鳴らすクセもの学者・田所雄介を香川照之が、天海を追う週刊誌の女性記者・椎名実梨を杏が担当するなど、豪華俳優陣が集結しているのも本作の見どころだ。

 さらに、天海の参加する「日本未来推進会議」メンバーも、松山ケンイチ、中村アン、ウエンツ瑛士と注目キャストの名前が並ぶ。今回はイギリス留学後、初の連続ドラマ出演が、この超大作となるウエンツ瑛士にインタビューを実施。かねてより親交のある小栗や松山との共演を果たした本作への感想、そしてコロナ禍を経て抱いたこれからの生き方について聞いた。

ドッキリを疑わずにいられなかった日曜劇場への出演

――『日本沈没ー希望のひとー』へのご出演が決まったときの感想はいかがでしたか?

ウエンツ瑛士(以下:ウエンツ):正直びっくりしましたね。嬉しいよりも先に「え? ドッキリじゃない?」って思いました。これまでたくさん仕掛けられてきたのもありますが、日曜劇場ってもう「そのクールで絶対に見逃しちゃいけない作品」って感じじゃないですか。そこに「まさか自分が? 本当に!?」と思いました。撮影が進みながらも疑い続けたくらいですよ(笑)。そのくらい光栄なことですので、しっかり務めなきゃというプレッシャーも感じましたね。

――今回、ウエンツさんが演じられる石塚平良は、厚生労働省の次代を担うエリートですね。

ウエンツ:石塚は「未来推進課会議」のなかでも、特に若手のメンバーなんです。各省庁の力関係がありつつも、個々の利益ではなく日本の利益を考えていこうという天海(小栗旬)さんをすごく尊敬していて、なんとか後押ししていきたいというキャラクター。でも、まだうまくできなくて、空回りしてしまう部分もあるんですけど。自ら狙ってムードメーカーになって盛り上げていくというわけではなく、結果的にその人柄がその場を和ませていくというような存在です。

――役柄を演じる上で、心がけていらっしゃることはありますか?

ウエンツ:これまでドラマの出演作はそこまで多くないのですが、今回は脇を固めるポジションなので、どうすればこのドラマの潤滑油になれるのか、どうすれば核となる小栗さんや松山さんを立てていくことができるのか……というところを意識しました。なかでも、全体に対して自分のセリフを言うリズム感を大事にしています。そのセリフの背景にある感情や、発するときの表情を考えていくのはもちろんなのですが、この場面がどういう展開に向かっているのかを意識することで、より印象的な場面につながればいいなと思っています。

――石塚のキャラクターに、ウエンツさんご自身が共感する部分はありますか?

ウエンツ:面白いと思ったのは、物語のなかで石塚自身も大きく変化していくところ。個人的に、前半の石塚は僕の20代中盤から後半くらいのころと重なっている感じがしています。結果的にムードメーカーになってしまっているという立ち位置とか、ちょっとお調子者って言われてしまうようなところとか……。それが後半にかけてどんどん今の僕に近づいていくような気がしました。その部分も、ぜひオンエアでは楽しんでいただきたいところですね。

――ウエンツさんが考える、このドラマの見どころは?

ウエンツ:王道のザ・ドラマだなって思っています。「このセリフを小栗旬から聞きたい」「松ケンのこういう姿が見たい」……といった「やっぱりドラマはこうじゃなきゃ!」っていう要素がつまっている。理想や希望を抱くことができるのが、ドラマの醍醐味だと思うので。最高のキャストで、ドラマチックな世界を堪能したいという願いを、存分に叶えてくれる作品ですね。

豪華俳優陣との共演に「こんなに勉強になることはない」

――小栗さんとは、以前より親交があったとお聞きしました。

ウエンツ:そうですね、バラエティでよくご一緒させていただいたのがきっかけで。ちょうど小栗さんが映画『罪の声』でイギリス撮影があったのもあり、留学中に出演した僕の舞台を観に来てくれました。なので、バラエティやプライベートでの顔は知っていましたが、こうして演技を一緒にするのは初めてで。今回、一緒にお芝居をしてみて、本当に頼もしいなと思いました。もちろん普段からその器の大きさを感じる部分はありましたが、こうして座長としてドラマの現場を率いていく立ち振舞いを見ていると、気軽に「ねえねえ、小栗くん!」なんて声をかけられないですよ(笑)。本当にすごい人だったんだなって。面と向かってはなかなか言えませんけど、改めて感じさせられました。

――松山ケンイチさんとはいかがでしょうか?

ウエンツ:普段は松ケンと呼ばせてもらい、仲良くさせていただいていますが、こうして演技のお仕事をして、松山さんに対しても本当にすごい役者さんなんだと痛感しました。現場の姿を観ていると人が好きなんだなって思いますね。いろんなことに興味を持って、人に話しかけて、研究をして……それがどんどん役にも吸収されて進化していくのが見ていてわかるんです。役を創り上げて現場に入る小栗さんと、現場で役を進化させていく松山さん。異なるアプローチで役作りをしているのが印象的でしたね。こんなに役者として勉強になることはないですよ! ただ、松山さんは現場で隙あらば僕をイジってくれるので、個人的にはその部分も気が抜けないのは、勘弁してほしいところでしたが(笑)。

――同じ「未来推進会議」メンバーの相原役を演じる中村アンさんとのシーンが多いと、うかがいました。

ウエンツ:相原としても中村アンさんとしても、どっちも僕に興味がなさそうでしたので、何もしなくても初対面の距離感がそのまま出ていてよかったと思います(笑)。“日本沈没”っていう未体験の危機が予測されるわけですけど、人ってそれぞれ信じる度合いが違うものじゃないですか。僕の迷う感じと中村アンさんのビシッとくる感じのバランスがちょうどいいなと思いました。個人的には、物語が進むにつれて2人の関係性も変わっていってほしいなと、期待はしていますけど。だって、日本沈没ですよ? そんな危機を前につり橋効果的なものあるって思いませんか? そんな軽いものじゃないかな!?

――2人の関係性にも注目ですね(笑)。雑誌記者・椎名役の杏さんとの接点はありますか?

ウエンツ:残念ながら昨日の中で共演シーンは少ないんですが、実は地元が一緒で。顔合わせのときから「あそこのラーメン屋さんがおいしいよね」とか「あの焼肉屋さんおいしいから今度行ってみて」とか、たくさんお話をさせていただきました。そういうプライベートなことを話せる人がいるのは、すごく気が楽ですね。「日曜劇場」っていう枠に緊張していた僕にとって、なんとなくチームの輪に入れてもらえたような感じがして。「ものすごく助かりました」っていうのは、いつかお伝えしたいなと思っています。

――東山総理大臣役の仲村トオルさんの印象は、いかがでしょうか?

ウエンツ:役者として「総理という立場をどのように演じられるんだろう」ってすごく興味を持って仲村さんを見ていました。もう、カメラが回っていないときもその威厳をまとわれていて、そのままスッとシーンに入られていました。「未来推進会議」のメンバーといるときにはない緊張感が、仲村さんがいらっしゃったときにはあって。姿を見かけただけで、自然と体がピッと固まるような。そんな雰囲気を醸し出してくださっていたのは、大変ありがたいなと思いました。

――香川照之さん扮する田所博士については?

ウエンツ:やっぱりパワフルですよね(笑)。エネルギーがすごくて、セリフを交わすシーンは二言、三言しかないんですけど、その瞬間は本当に財産だと呼べるものになりました。以前、NHK大河ドラマ『利家とまつ』で、香川さんが豊臣秀吉、僕が森蘭丸の役で共演させていただいたときは、直接セリフのやりとりはなかったんですけど、そのときのことも覚えていてくださって。バラエティでもイギリス留学に行ったときの話を聞いていただきましたし、本当に香川さんと接する時間は全てが貴重ですね。

――政界に絶大な影響力を持つ里城役を石橋蓮司さんが演じられていますね。

ウエンツ:先日、石橋さんと初めてシーンをご一緒させていただいたんですが、緊張のあまり噛み倒しました(笑)。威圧感というかピリついた感じが、部屋全体に充満していまして。役を作るって、周りの空気そのものを変えてしまうことなんだって思い知らされました。すごく緊張したのと同時にとても興奮した1日でした。本当に、この現場は百戦錬磨なベテランの方がたくさんいらっしゃるので、みなさんの一挙手一投足を見逃さないように勉強させていただいています。しかも聞けばいろいろとアドバイスもくださるので、今の僕にとってこんなに幸せなことはないですね。



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