中村蒼が振り返る、『エール』“村野鉄男”としての1年間 「大切なことを気づかせてくれた」

中村蒼が振り返る、『エール』“村野鉄男”としての1年間 「大切なことを気づかせてくれた」

 NHK連続テレビ小説『エール』も最終回まで残すところあと2週となった。裕一(窪田正孝)と音(二階堂ふみ)を中心に戦後をたくましく生きる登場人物たちの姿が描かれているが、第22週で主役の1人となったのが、中村蒼が演じる村野鉄男だ。生き別れた弟・典男(泉澤祐希)との再会シーンは多くの視聴者の涙を誘った。中村が鉄男をどんな思いで演じていたのか。約1年にわたる撮影を終えた先日、話を聞いた。

『エール』は大切なことを気づかせてくれる作品

ーー昨年10月にクランクインして、10月29日についにクランクアップを迎えました。1年以上にわたる撮影となりましたが、終えてみていかがでしょうか。

中村蒼(以下、中村):窪田(正孝)さんはもちろん、制作に深く関わっている方々の気持ちは計り知れないものだと思いますが、僕ぐらいの立ち位置の人間でも精神的にくるものがありました。撮影が最後まで終わることができて本当によかったなと、終わった瞬間にそう思いました。窪田さんをはじめとする才能溢れる方々と共演できたことがうれしくて、今後自信を持って新たな現場に行けるんじゃないかなと思えるくらい、貴重な1年を過ごすことができました。

ーー精神的にくるというのは?

中村:撮影が2カ月ないというのは初めての経験でした。『エール』という作品を心から面白いなと思いながら撮影していたので、もしかしたら日の目を見ない可能性もあるかと思うと、不安な日々でした。

ーー新型コロナウイルスの感染拡大という誰もが予想だにしない事態が起きました。エンタメ業界は不要不急であるとされる一方で、誰にとっても欠かせない存在だなと改めて感じるきっかにもなったように思います。

中村:そうですね。まさに自分の仕事は必要なのかどうかというのは考えました。『エール』は「福島から日本を元気に」というのが当初のテーマでしたが、こんな状況になり、いろんなものとシンクロして考える方が多かったのではないかと思います。僕自身も、こんなにも他人を思う気持ちが大切なんだって気付けたというか。自分は多くの人に支えられていることに気づかせてくれる作品でもありました。

ーー放送休止中は副音声付きの再放送がオンエアとなっていました。中村さんも鉄男としてガイドを担当されていました。

中村:再放送のときは僕も副音声付きで観られるときは観ていて、ナイスアイデアって感じでした(笑)。視聴者の方々にも、また新たな発見があったのではないでしょうか。僕も出ているはずなのにいち視聴者として楽しんでいたので、撮影休止中の2カ月間は、『エール』に助けられた部分も大いにあります。

ーー第1話で鉄男が藤堂先生(森山直太朗)の墓前に手を合わせるシーンは、再放送当時大きな話題になりました。

中村:藤堂先生のお墓なんだって2回目で気づいた方もいたそうで。第1話なのでソワソワしながら観るじゃないですか。そういう新たな発見もあるんだなと思いましたね。

ーー第18週「戦場の歌」では藤堂先生の死とビルマでの現実が、まるで戦争映画のように生々しく描かれました。

中村:窪田さんが、「撮影していてもスケールが大きくて、戦争映画を撮っているような感覚になった」と言っていたんです。第18週を観て、亡くなった藤堂先生のそばにいられなかったのが鉄男としても悔しいという気持ちになりましたね。鉄男はこれまで戦争に対しては俯瞰して見ていて、のめり込むことなく冷静に裕一を引きとめようとするシーンがあったと思うんですけど、今まで否定し続けていた戦争にある種加担する歌詞を書く立場に変わっていくのが戦争の恐ろしさだと感じました。

ーー第18週の戦争シーンは、撮影休止明けで序盤に撮られたシーンであり、製作陣も並々ならぬ思いがあったと聞いています。中村さんとしても心境の変化はありましたか?

中村:撮影休止明けに僕が初めて撮ったシーンが鉄男が「暁に祈る」の詞を書くシーンだったんです。より気合の必要なシーンだったので大変でした。撮休中は完全に仕事のことを忘れて生活していたので、結果的に腐ることなく家族と充実した2カ月を過ごすことができたんですけど、その分そこから一気に戻すのは難しくて、無理やり演じて頑張りました。慣れない感染防止策を守りながらのお芝居も難しかったですね。

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