『まどか26歳』原作者・水谷緑が感動した制作陣の“本気” 芳根京子は「応援したくなる」

研修医が初期研修として各診療科をまわるスーパーローテーションの2年間を描いた火曜ドラマ『まどか26歳、研修医やってます!』(TBS系)。原作は、タイトルにもなっている『まどか26歳、研修医やってます!』と、男性研修医の日常を描いた『あたふた研修医やってます。』『離島で研修医やってきました。』の3冊のコミックエッセイ。これらを手掛けたのは、数多くの医療系コミックエッセイを執筆してきた水谷緑だ。現役で活躍する医師たちが、研修医時代に実際に経験したエピソードの数々が、ドラマ『まどか26歳、研修医やってます!』のリアルさを支えている。
一人ひとりの医師の日常を切り取ったコミックエッセイを、どのようにドラマとして構築していったのか。原作者の水谷とTBSの松本桂子プロデューサーに、制作の舞台裏を聞いた。(古澤椋子)
“普通の人の目線”で見た医者や病院の実態は面白い!

ーーここまでの放送を終えて、反響はいかがですか?(取材時は第7話まで)
水谷緑(以下、水谷):周りの友人、知人から「面白い!」という感想をたくさんもらいます。特に、医療関係者の方が、面白いと言ってくれるのが嬉しいですね。第1話で、人を助けるためという医師が働く意義を、真正面から描いてくれたのが嬉しかったと言ってもらえたのが、印象的でした。
松本桂子(以下、松本):やっぱり医療関係者の方々に喜んでもらえているのが嬉しいです。ドラマの医療監修をしてくださった先生が、すごくいい作品だからと、学会で勧めてくださったこともあって。実際に医師が感じる苦しさや葛藤がきちんと描かれていると言ってもらえることが多いです。SNSでも、「医師のリアルな姿を応援したい」という感想をもらえて制作する意義を感じますし、スタッフみんなやりがいを持って日々撮影に臨んでいます。

ーー水谷さんはどのような経緯でこの作品を執筆されたのでしょうか?
水谷:医療系のコミックエッセイを描き始めたきっかけは、弟が医者になったことでした。家族に医者が一人もいない普通の家庭で育った弟が、大学や研修先の病院であった刺激的な出来事を楽しそうに話してくれていたんです。そういう普通の人の目線で見た医者や病院の実態がとても面白くて、漫画にしてみようと描いたのが、1冊目の『あたふた研修医やってます。』です。2作目では離島の地域医療について描いたので、次は女性研修医の話を描いてみようと、担当編集の友達の友達だったまどか先生を紹介してもらいました。彼女が語る一つ一つの出来事が本当に面白くて。いい意味で肩肘張らない、20代後半女性の研修医が体験したリアルなエピソードがそのままコミックエッセイになったものが『まどか26歳、研修医やってます!』なんです。
ーー松本プロデューサーは、原作のどういった部分に魅力を感じましたか?
松本:院内でコードブルーが出て医者が集まって心臓マッサージをする話だったり、研修医がスキルス胃がんの患者さんへ死亡宣告をしたり、一つ一つのエピソードがリアルで興味深いなと感じました。また、「女性の研修医は2年間で人生と仕事を決める」というコンセプトも分かりやすく、お仕事ドラマの感覚で一人の新人が成長する物語として、多くの人に共感してもらえるんじゃないかと思いました。
水谷:『まどか26歳、研修医やってます!』は、10年前の2015年に出版されたものなので、最初にドラマ化のお話を聞いたときは本当に驚きました。2024年の7月に、『ダ・ヴィンチWeb』に過去作として掲載された『あたふた研修医やってます。』を、TBSの方が見つけてくださったのがきっかけだったそうです。いろんな縁が繋がってドラマ化に至ったので、本当に感謝しかないですね。内容については、基本的にドラマスタッフの方々にお任せしているのですが、特にお気に入りだった、取り出した精巣が綺麗だったというエピソードは入れてほしいとお願いしました。
松本:印象的なエピソードですし、他の医療ドラマではなかなかないエピソードだと思います(笑)。もう一人のプロデューサーである塩村とも、普通の医療ドラマでは見られない「原作の味」が出るシーンはどんどん入れたいと話しておりました。まさに「精巣がきれい」というのは、水谷先生だからこそ、取材の中で拾えたのだと思いますし、とてもユニークな視点で、我々も好きなエピソードの一つです。

ーー水谷さんは、撮影現場には行かれたんですか?
水谷:第6話の収録に伺いました。皆さんのお芝居にただただ圧倒されました……。ちょうど、城崎先生(佐藤隆太)にまどかが激励されるシーンで、芳根さんのセリフは「はい!」だけだったんですが、佐藤さんからのセリフを受けて、心が動いて、返事をしたというのが、少しの呼吸の変化から分かるんですよ。思わず「頑張れ!」と応援したくなるというか。身ひとつで観ている人を魅了して、没入させてしまう。俳優って本当にすごい職業だなと思いました。
松本:まどかを応援したくなるヒロインにできたのは、芳根さんの力が大きいですね。コメディ要素の強い会話のシーンから命に関わるシリアスなシーンまで振り幅のある作品ですし、シーンによってまどかの喜怒哀楽も大きく変化しますが、どのシーンもパワフルに演じてくださっています。まどかの食べるのが好きで、チャーミングな性格を表現するために、食事中の動作など細かいところまで考えて提案してくださって。まどかのキャラクターを丁寧に作ってくださっています。




















