無料配信もスタート! オダギリジョー主演『仮面ライダークウガ』が平成ライダーにもたらしたもの
現在、東映特撮YouTube Officialで『仮面ライダークウガ』(以下『クウガ』)(テレビ朝日系/2000年)が毎週2話ずつ配信中だ。昭和から放送が始まった東映制作の特撮ヒーロー番組『仮面ライダー』(1971年)は、数年単位の休止と再開を繰り返しながら続編を制作し続け、『仮面ライダーBLACK RX』(1998年)の放送終了をもって、長い休眠期間に入る。やがて時代は昭和から平成へ。その平成の世に再び東映が制作した『クウガ』は、テレビシリーズとしては実に10年4カ月ぶりに蘇った仮面ライダーだった。
平成に入って初めて制作された作品という意味合いで、『クウガ』を起点とする以降の仮面ライダー作品は、“平成ライダー”と呼称され、元号が令和に変わるまでの期間に20作品が放送された。『クウガ』は、その記念すべき平成1号ライダーというわけだ。テレビドラマ、映画、CMなどで活躍中のオダギリジョーの初主演作でもあり、彼が世に知られるきっかけになった作品という側面もある。
スタッフ、キャスト共に全く新しい顔ぶれでスタートした『クウガ』は、昭和のシリーズとは異なる設定を多く盛り込んだ。例えば昭和ライダーは、同一人物、同一キャラクターが作品をまたいで出演することで、作中世界が地続きであることを示していたのに対し、『クウガ』は歴代の仮面ライダーとの接点も関連性もない。また、基地を構えた悪の秘密結社が出てこない、怪人が率いる戦闘員の存在をなくしたなど、敵まわりの設定も見直されている。グロンギと名乗る敵の一族は、独自の言語で会話する設定があり、視聴者の中にはグロンギ語の法則性から会話の内容を解析しようとする人もいた。さらにユニークなのが、クウガもグロンギ族の怪人も共に、警察という公的機関から見れば正体不明の未確認生命体に過ぎないという視点だ。クウガが警察の信頼を得て、人間の味方だと認識されるまでに話数を費やすという、一般ドラマ的な味わいを持たせた作りは斬新だった。
平成以降のライダーが昭和のライダーと異なる大きな点は、身体の色や攻撃能力が変化するフォームチェンジという特性を持たせたことだろう(ヒーローが外見を複数に変化させる手法は1996年放送の『ウルトラマンティガ』が早いのだが)。フォームチェンジにより身体のパーツの一部分と、使用する武器も変わる流れは、現在まで受け継がれている。『クウガ』が導入したフォームチェンジの設定は、2000年代の仮面ライダーたちに多種多様なバリエーションをもたらしたが、やがてこれはベルトに装填する複数のガジェットごとに新たなフォームチェンジが発動したり、作品によってはベルトのバックル部分を交換、あるいはバックルにパーツの追加をするギミック重視へと発展している。キャラクター玩具の点数を増やすための策だといってしまえば身も蓋もないが、『クウガ』のフォームチェンジなくしては、現在のギミック変身型の仮面ライダーもあり得なかったはずだ。