『おむすび』CP「まだまだ描くことはたくさん」 “今”に近づく第20週の狙いを聞く

NHK連続テレビ小説『おむすび』が現在放送中。平成元年生まれの主人公・米田結(橋本環奈)が、どんなときでも自分らしさを大切にする“ギャル魂”を胸に、栄養士として人の心と未来を結んでいく“平成青春グラフィティ”。
「生きるって何なん?」と題した第20週では、父・聖人(北村有起哉)の大病を通じて、家族の絆、さらには管理栄養士としての結の仕事ぶりが細やかに描かれた。

制作統括の真鍋斎は「一般的には闘病生活や、“生きるか死ぬか”といったところを見せるのかもしれませんが、このドラマではそこを描きたいわけではなくて。がんは今、人によっては完治する病になってきて、一方で死と直結する病でもある。その中で聖人や家族たちが“命”とどう向き合っていくのかをテーマにしています」と説明。同じく制作統括の宇佐川隆史は「単なる病との戦いではなく、この出来事をきっかけに、生きることの意味をそれぞれが見つめ直す週時間になっています」と話した。
第100話では術後の聖人に対する食事指導など、管理栄養士の具体的な仕事にも焦点を当てた。その狙いについて、真鍋は「これは私が勉強不足なだけかもしれませんが、管理栄養士には、仕事内容に関する社会的なコンセンサスを比較的とりにくい印象があります。もちろん古くからありますし、いろいろなところで活躍している職業ではありますが、例えば弁護士やパイロットなどとは違って“どんな仕事をしているのか”をイメージしにくい。そこで、ここではより丁寧に見せていこうと考えました」と明かす。

さらに、「主要なテーマとなっている“ギャル”も社会的コンセンサスが薄いですし、“震災”も非常にデリケートですし、この物語には簡単に掴み取れるようなものが題材としてすごく少ないんですよね。そのため、どれ程の説明が必要なのか。そして、どのくらいドラマ的なエモーションが必要なのか。そのバランスを取りながら描くことが全体を通して難しいところでもあり、また挑戦しがいのあるところでした」と語り、こう続ける。
「第18、19週では病院に勤務する栄養士の仕事をじっくりと見せながら、そこに訪れる患者さんたちとのドラマを描けたらいいなと思っていました。たとえば18週では、管理栄養士の日常業務を一つのコーナーとして見せるような描き方もしましたが、そうした下地ができたところで、今回、聖人の入院が“個別の患者にどうアプローチをしていくのか”を見せる機会になっていると。肉親だから特別ということはなく、きっちりと自分の仕事をまっとうする。ある意味では淡々と、一つ一つ作業をこなしていくところに、ふだんの結の業務も垣間見える、といったところを意識して根本さんとディスカッションを重ねました」(真鍋)