桐山漣、二枚目キャラ×コメディ演技で欠かせない存在に さらなるブレイクへの期待

桐山漣はますます欠かせない存在に

 桐山漣が今、非常に面白い。

 9月10日に最終回を迎える『おじさんはカワイイものがお好き。』(読売テレビ・日本テレビ系)で、その厳しすぎる態度のせいで職場の同僚からは疎まれつつも、本当はネコ好きの第二営業課課長・鳴戸渡役を好演。ワンレンメガネの冷血ぶり、主人公・小路三貴(眞島秀和)を睨みつける「ぐぬぬぬぬ……」の表情などデフォルメの効いた演技で、ともすると嫌なヤツになりがちな鳴戸というキャラクターにコミカルな魅力をもたらしている。

 ここ最近、『これは経費で落ちません!』『いいね!光源氏くん』(ともにNHK総合)など面白いドラマには、桐山漣の名前がある。1985年生まれの35歳。俳優としてのキャリアは今年で15年目を迎える。デビュー作は、2006年から出演したミュージカル『テニスの王子様』。『仮面ライダージオウ』(テレビ朝日系)で存在感を示した兼崎健太郎、『ルーズヴェルト・ゲーム』『陸王』『下町ロケット』などTBS日曜劇場に欠かせない俳優として知られる馬場徹らと一緒に、俳優として始まりの季節を過ごした。

 大きく注目を浴びたのは、2009年の『仮面ライダーW』(テレビ朝日系)。本人の念願だったという『仮面ライダー』シリーズで主演の座を掴み、ニチアサファンの支持を獲得。その後も『花ざかりの君たちへ~イケメン☆パラダイス~2011』(フジテレビ系)の難波先輩役や、『空飛ぶ広報室』(TBS系)の藤枝役など、チャラそうに見えて根はいいヤツという役をうまく演じていた。

 桐山の特徴は、圧倒的な出演本数。これまでのドラマ出演本数は、ゲスト出演なども含めると65作を超え、ジャンルもバラエティ豊か。『コードネームミラージュ』(テレビ東京系)や映画『曇天に笑う』ではアクションにも挑戦し、高い身体能力を見せつけた。

 こうして切れ目なく様々な作品に出演する一方で、なかなかヒット作や話題作に恵まれなかった面も。ドラマフリークにはおなじみの存在ではあるものの、さらにその先の大きなステージへ活動を広げるきっかけをつかめずにいたようにも見えた。

 だが、着々と磨いてきた演技力は裏切らない。2018年、『探偵が早すぎる』(読売テレビ・日本テレビ系)に出演。5兆円の遺産をめぐって命を狙われる女子大生・一華と、彼女を守る探偵・千曲川光の活躍を描いたコメディミステリーで、桐山は一華の命を狙う大陀羅一族のひとり・壬流古役を務めた。絵に描いたような嫌なヤツだが、ボンボンならではのツメの甘さがあり、母親には逆らえない小物キャラだ。本人はニヒルにキメているつもりが、千曲川に返り討ちにされ、痛い目に遭うという壬流古の残念感を表情豊かに演じて、視聴者を楽しませてくれた。

 この壬流古という役は、どこか『おじカワ』の鳴戸に通じるところがあって。ヒール的なポジションであっても視聴者に愛されるコメディ演技が、桐山は非常にうまい。

 『これは経費で落ちません!』では、営業部のエース・山崎を演じた。本当は研究開発の仕事がしたいのに、その抜群の営業センスが災いして営業部から異動できない山崎さんのジレンマを堅実な演技で見せつつ、終盤はその腹の底が読めないキャラクターを活かし、視聴者を驚かせる一面も。こうした二枚目の役どころがばっちりとハマるのは、端正なビジュアルを誇り、紳士的な仕草の似合う桐山漣だからこそ。

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