今ハリウッドで最も稼いでる? 海外ドラマ製作に必須の職業“ショーランナー”を解説

今ハリウッドで最も稼いでる? 海外ドラマ製作に必須の職業“ショーランナー”を解説

 2020年も3カ月が過ぎ、世界中に住む多くの人々にとって誰もが予想しなかった変化に陥っている。今年5月にはHBO Maxの参入に期待が高まっていた動画ストリーミングサービス業界も、新型コロナウイルスの影響は甚大だ。各個人が自宅にいることが世の中を救うので、ストリーミング大手にとってはビジネスチャンスといえる一方で、新規作品のプロダクションは軒並みストップ。おそらく今年いっぱい程度は、昨年までに製作された新規作品の配信が続くと思われるが、これまで以上に、各ストリーミングサービスで「既存作品でどのような作品が配信されているのか」がユーザーにとって重要な時代に急変しているように思う。この記事を読んでいる方の中にも、NetflixやAmazon Prime Videoなどの加入を検討している人もいるだろう。今回は、加入を検討している方、新規加入した方向けに、視聴作品選びの基準の一つとして「ショーランナー」の存在を紹介したい。

今、ハリウッドで最も稼いでいるポジション「ショーランナー」

 日本では聞きなれない職種・ショーランナーとは、欧米のテレビドラマ製作においてトップの力を持っている存在。プロデューサーとして予算などに携わるだけでなく、監督・脚本家として実際に製作にも深く関わるのがショーランナーだ。日本との違いであれば、NHKの大河ドラマや朝の連続ドラマ小説制作発表を思い浮かべてほしい。主演俳優と担当脚本家が一番大きく報道されるが、あくまで日本では、監督・脚本家・プロデューサーは縦割りでそれぞれの役割を担うのに対し、ショーランナーは各役割を良い意味で飛び越え、作品全体を取り仕切る。よくハリウッドのショーランナーは自作を我が子のようだと表現するが、まさにその通り、ドラマの原案から脚本、監督業に至るまで包括的に作品製作に関わっていく。

 当然製作されたドラマがヒットすれば、DVD化、海外の放映権など含めかなりの収入が期待されることは言うまでもない。一人でそんなにいくつもの仕事ができるのかと懐疑的になるが、全話脚本・監督する場合はあまり多くなく、基本的には監督も脚本もチームで運営されている。さながらショーランナーは、プロデューサー、監督、脚本のそれぞれのリーダーでもあるイメージだ。もちろんマネジメントの仕方は各ショーランナーに委ねられるため、細かく監督や脚本に指示を出す場合もあれば、そのようなマイクロマネジメントを行わない場合もある。何百万ドルもかけて製作される昨今のテレビシリーズにおいて、ショーランナーは所謂会社の社長のような、巨大なプロジェクト運営者ともいえる。

ストリーミング戦国時代=ショーランナー獲得戦国時代

 冒頭で述べた通り、各ストリーミング大手は配信作品のラインナップが非常に大事だ。そのため新規会員を獲得できるような人気ショーランナーとの契約に投資をしている。2018年にNetflixが『glee/グリー』や『アメリカン・ホラー・ストーリー』などFOXで人気作品を連発していたライアン・マーフィーと3億ドルの大型契約を結んだことは当時大きな話題となった。以後、それまではもともとテレビ番組制作出身のクリエーターと一部の映画監督・プロデューサーが参入していたテレビ番組製作も、みんながなんでもやる時代と言わんばかりにこぞってストリーミング大手と契約を結び作品製作を進めている。この流れを活かし、FXにてこの春、新作『Devs(原題)』を発表した映画監督の1人、アレックス・ガーランド(代表作『エクス・マキナ』『アナイアレイション -全滅領域-』など)は、IndieWireのインタビューでこう話す。

「疲れてしまったんだ……。おそらく映画は私にとって正しい場所ではないと考えた。基本的にメインストリームじゃない。だからテレビは私にとって新たなホームになるのではないかと思った。(中略)(FXとの経験は)全く持って、完璧で、自由だ。FXからは、好きなだけ予算を使っていいと言われた。過去映画製作の際、スタジオと最終カットでかなり揉めたこともある。それに比べてFXとの仕事は全く反対だ」(引用:https://www.indiewire.com/2019/10/alex-garland-devs-hated-fighting-over-his-films-ex-machina-1202179070/

 巨額の契約に加え、作品製作に対する自由度があるならば、実力あるクリエーターがこぞってストリーミング大手と契約することは納得である。動画ストリーミングサービスが出てくる以前もショーランナーは存在したが、今では映画監督や人気脚本家も参入し、ショーランナー獲得合戦が繰り広げられているように見える。クリエーター側としては、より自分のやりたいことができる場所を求めているため、契約に負け続ければ良いショーランナーを獲得できず、新規会員や視聴数を確保できないストリーミング各社としては、負けられない戦いだ。

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