『ホットスポット』「生き返る」に意味をもたせるバカリズム脚本の真骨頂 細かな考察要素も

『ホットスポット』(日本テレビ系)第3話より、木南晴夏が登場している。演じるのは、清美(市川実日子)たちの地元の同級生・綾乃。あだ名は“あやにゃん”だ。『ブラッシュアップライフ』(日本テレビ系)にて、“みーぽん”こと主人公の同級生・美穂を演じていた木南の参加は、前作から観ていたファンであれば嬉しい展開である。
その期待に応えるようにして、物語は高橋(角田晃広)が宇宙人であることがバレそうになる出来事が次々と起こっていく。5歳の娘・りつ(原春奈)を連れた綾乃は、清美たち幼なじみの集まりに遭遇。スマホのフィルム貼り、咄嗟のスマホキャッチ、車の持ち上げ、SOSランプが点灯したタクシーの追跡と、綾乃にバレないように裏で宇宙人の能力を使いながら様々な問題を解決していく様子が、またこれまでになかったシチュエーションで面白い。

清美、葉月(鈴木杏)、美波(平岩紙)は高橋を宇宙人だと知っているが、綾乃たち親子はまさか目の前にいるおじさんが宇宙人だとは思いもしていない。アイコンタクトや空気感で口裏を合わせていくのだが、その結果、高橋の経歴はスマホショップで少し働いていた、中学時代は卓球部、高校時代は柔道部、大学時代は陸上部にいたというおかしなことになっていく。

主犯格は清美であるが、回を増す毎に美波の高橋への当たりも強くなっており、一生懸命フィルムを貼る高橋を仕方なしに相手にしてあげている葉月、といった具合に第3話にしてすでに一人ひとりのキャラクターに愛着が湧いてしまっているのは、『ブラッシュアップライフ』の幼なじみたちと同様だ。ファミレスの隣の席の会話がたまたま聞こえてくるあの感じ。日曜の終わりに、ほっと一息をついて、クスッと笑える、そんなドラマに『ホットスポット』は定着していっている印象だ。

第3話は大きく分けて2部構成になっており、能力の副作用から満身創痍の高橋が、“生き返る”ためにお忍びでホテルの温泉に入りにくるが、支配人の奥田(田中直樹)と鉢合わせになりそうになるというハラハラの展開が、電気グルーヴ「富士山」(これ以上にない選曲!)をバックに繰り広げられていく。温泉の天井の柱にしがみついていた高橋がパンツ、仕舞いにしは服を全て湯船に落とし、びしょびしょのまま自転車に乗って帰ろうとしているところを奥田が見つけ、もう一度温泉に浸かる流れは不憫でならないが、たまらなく面白い。誰もが一度は言ったことがあるであろう「生き返る」という一言に、ここまで意味を持たせ、考えさせるバカリズムの脚本も見事である。





















