Netflixはなぜ“クリエイター重視”を実現できたのか? 坂本和隆ディレクターが語る、独自の方法論

坂本和隆が語るNetflixの方法論

 世界最大級のオンラインストリーミングサービスとして、ここ日本でも幅広く普及したNetflix。人気オリジナルシリーズ『ストレンジャー・シングス 未知の世界』シーズン4の製作決定や、マーティン・スコセッシが監督、ロバート・デ・ニーロとアル・パチーノが主演を務める『アイリッシュマン』といったオリジナル映画も大きな注目を集めている。日本からも『全裸監督』が、そのセンセーショナルな作風と主演の山田孝之を筆頭とした役者陣の演技で話題を呼び、今後も園子温監督の『愛なき森で叫べ』、蜷川実花監督の『FOLLOWERS』、湯浅政明監督が小松左京のベストセラー小説をアニメ化した『日本沈没2020』などが配信を控え、より大きな展開を予感させる。

 今回リアルサウンド映画部では、Netflixでオリジナル作品の制作に携わるコンテンツ・アクイジション部門ディレクター・坂本和隆にインタビュー。近年のオリジナルコンテンツの変化や、海外との連携、今後のビジョンについてまで話を聞いた。

「視聴者にとって一番ベストの決断をする」

ーーNetflix入社のきっかけは?

坂本和隆(以下、坂本):前職で、Netflixが携わっていた作品の制作現場に関わっていたんです。その作品制作が終わった後に、当時のNetflixから声をかけてもらって入社しました。2015年に日本にNetflixが進出した直後なので、4年前ですね。

ーーヘッドハンティングされた理由はなんだと思いますか?

坂本:前職で色々な国を飛び回っていたのは大きいかもしれないです。アメリカにルーツを持つNetflixを日本の市場で成功させるには、アメリカと日本、それぞれの仕事のノウハウを理解する広い視野が求められるので、そういった部分がフィットしたのかもしれません。

ーー坂本さんは、Netflixにおいて「コンテンツ・アクイジション部門ディレクター」という職種を担っています。

坂本:日本発の実写のNetflixオリジナルコンテンツの制作全般を管理しています。普段は、監督、プロデューサー、プロダクションの方と企画会議をしたり、進行している企画の脚本の打ち合わせが主な業務です。打ち合わせが終わったあとは、脚本や編集の確認や、映画などを観る時間をインプットとして設けています。これが僕の一日のルーティンです。地味で、すみません(笑)。

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ーーNetflixの業務において、苦労する場面はありますか?

坂本:苦労は感じていなくて、むしろ、常に面白いです。これだけスケールが広く、全世界を視野にものづくりができるというダイナミックな環境もなかなかないと思うので。全世界にチームがいますが、海外のチームと企画の話をすると、それぞれバックグラウンドや考え方が違うので、「この国はこういうものを出してくるんだ」という刺激があります。それこそ、オリンピックみたいな(笑)。お互いの意見のディスカッションは楽しいです。

ーーNetflixは各国が独立してコンテンツ制作に取り組んでいるんですね。

坂本:Netflixには「支社」という概念はないので、Netflix JapanはNetflix Japanのチームでビジネスを進めています。「視聴者にとって一番ベストの決断をする」というシンプルな考え方がベースにあるので、非常に決断が早い会社だと思います。

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