北村一輝、寂しさから溢れ出る涙をこらえる 『スカーレット』親子の切ないワンシーン

『スカーレット』親子の切ないワンシーン

 就職のため滋賀・信楽から大阪へとやってきた喜美子(戸田恵梨香)は、荒木さだ(羽野晶紀)が女主人を務める“荒木荘”にて「女中として働かせて下さい」と嘆願。いよいよ社会人としての大阪生活が始まった。

 朝ドラ『スカーレット』第16話では、“荒木荘”の下宿人の一人である庵堂ちや子(水野美紀)から、「古い信楽焼きには高い価値がある……」と喜美子が言われ、笑顔を弾けさせた。

 女中として働く喜美子の仕事に、“電話を取る”というものも加わる。この当時はまだあまり電話が普及しておらず、“荒木荘”の近隣一帯でも電話のある家庭は少ない。だから代わりに“荒木荘”が窓口になり、各家庭に繋ぐのである。喜美子は迅速に電話を取り次ぐことができるよう、近隣の家庭がマッピングされた紙を用意。女中として器量よく立ち振る舞おうと、気合い充分だ。

 そんなところへ、一本の電話が。女中の大先輩・大久保のぶ子(三林京子)から言われたように、品よく「荒木荘でございます」と答える喜美子。しかし相手は無反応だ。声色を変えて、繰り返しこの言葉を喜美子は繰り返すが、やはり反応はない。その電話の相手は父・常治(北村一輝)。彼は喜美子の声を聞き、寂しさから溢れ出る涙をこらえ、何も言えなかったのである。喜美子の姿だけ観ていると、その姿はひたむきで、愛らしくさえ思えるが、なんとも切ないワンシーンだ。

 しかし、喜美子のいない寂しさを感じているのは父だけではない。それは幼馴染の照子(大島優子)も同じこと。喜美子に宛てた手紙には輝く高校生活の様子が綴られ、同封された写真には笑顔の彼女が収められているが、その実、同じく幼馴染の信作(林遣都)が渋々カメラを向けていた。照子いわく「喜美子に負けないように高校生活をエンジョイする」ということだが、どうやら寂しさを紛らわせるために装っているだけなようである。

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