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“不朽の名作”の続編の出来は? 原作の精神を守り抜いた『メリー・ポピンズ リターンズ』の価値

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 「さよなら、メリー・ポピンズ。またすぐに帰ってきておくれ」

 桜通りのバンクス一家に幸せをもたらした魔法使いのナニー、メリー・ポピンズ(ジュリー・アンドリュース)が、友人のバート(ディック・ヴァン・ダイク)に呼びかけられながら、トレードマークの傘を片手にロンドンの空へと舞い戻っていく。そんなラストシーンで幕を下ろした、ディズニー映画『メリー・ポピンズ』(1964年)公開から55年。『メリー・ポピンズ リターンズ』は、ついに彼女が桜通りに、そして観客の前に帰ってくる作品だ。

 だが、世界中にファンが存在し、多くの人が作中の楽曲のメロディーを口ずさめるほどの「不朽の名作」の続編を撮ることは非常に難しい。大きなプレッシャーを抱えた本作『メリー・ポピンズ リターンズ』の出来は、果たしてどうだったのだろうか。

 前作では子どもだったバンクス家の長男マイケルは、成長後も桜通り17番地に住んでいて、3人の子を持つ親になっていた。さすがは「“バンクス”家」と言うべきか、画家としての夢を持ちながらも、父や祖父と同じようにマイケルもまた同じ銀行で働いていているという設定で、本作の物語は始まっていく。

 だが、時代はちょうど世界恐慌のただなか。経済危機と増大する失業者によりイギリス全体が困窮していた。マイケルは、皮肉なことに自分の働いている銀行から桜通りの家を差し押さえられそうになる。さらに不幸なことに、彼は妻を亡くしたばかりで失意の底にいたのだ。マイケルの子どもたち、アナベル、ジョン、ジョージーは、そんな状況のなか、なんとか力になろうと奮闘とするが、空回りして家の中は荒れ放題となっていく。

 新世代のバンクス家に降りかかる数々の深刻な問題に、「メリー・ポピンズーっ、早く来てくれーっ!」と観客が焦れったい思いにとらわれる、まさにそのタイミングで、彼女は颯爽と雲の裂け目より降下してくる。しかも前作の印象深い“あるアイテム”を持って。このシーンは、前作を観ていれば何倍も素晴らしく感じられるはずだ。

 驚かされるのは、そんなメリー・ポピンズを演じるエミリー・ブラントの見事なヴィジュアルや仕草だ。気位の高さと完璧主義な性格を見せつつも、その裏に子どもっぽいいたずら心や深い優しさが隠されていることを感じさせる演技は、過去にジュリー・アンドリュースが演じたポピンズよりも、むしろキャラクターが完成されているように感じられた。ここでは役作りや衣装など、ポピンズ復活のための周到な努力が垣間見えるのだ。

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