山崎まさよし「真摯に役に向き合っていきたい」 横山秀夫原作、篠原哲雄監督『影踏み』で14年ぶり映画主演
横山秀夫の人気小説『影踏み』が、山崎まさよし主演・主題歌で長編映画化されることが決定した。
『クライマーズハイ』、『64』などのベストセラー作家・横山が2003年に発表した小説『影踏み』を実写化した本作。主演を務める山崎は、『8月のクリスマス』以来14年ぶりの長編映画主演で、メガホンを取る篠原哲雄監督とは、『月とキャベツ』以来22年ぶりに長編映画でタッグを組み、本作の主題歌も山崎が担当する。
本作は、群馬県・中之条町で18年続く伊参スタジオ映画祭の2016年度の開催時に、横山、山崎、篠原監督がゲストとして顔を合わせたのがきっかけで制作の話がスタート。通称“ノビ師”と呼ばれる泥棒が、彼に降りかかる難事件に立ち向かいながら、幼馴染のヒロインとの恋と泥棒家業の狭間で揺れ動く模様を描く。原作者の横山が山崎に合う作品として自ら『影踏み』を提案し、映画化が実現した。
5月から群馬県を舞台に、オールロケにてクランクインを予定し、公開は来春以降の見通し。その他のキャストは後日発表される予定だ。
横山秀夫(原作)コメント
・泥棒を主人公とする「影踏み」について警察などの組織も泥棒も同じフィールドにある感覚なんです。組織と個人の関係を突き詰めて考えていくと、最終的にはどんな立場の人間であれ世の中のしがらみと無縁ではいられない。すべての人間はそこから逃れられない。地面スレスレから見た社会を描きたいと思いました。
・映画への期待
山崎さんと篠原監督が素晴らしい世界観を作ってくれるでしょうから、原作にとらわれずに作っていただきたい。僕はその『影踏み』を楽しみたいと思っています。ミュージシャンとして人の心を盗むのがうまい山崎さんは、実は“泥棒”という役がぴったり合うんじゃないかと思っています。でも、山崎さんを泥棒にしてしまって申し訳なく思っています(笑)。
山崎まさよし(主人公・真壁修一役) コメント
・久しぶりの長編映画主演について
今回は、過去の経験も踏まえて最初から主演でとお話をいただきました。ずっと役者とは全く違う動きの中で活動してきたので、今はプレッシャーを感じています。
・真壁という役について
今回はミュージシャンである自分とはかけ離れていますが、歌を書く時の目線は底辺から色んな景色を見たいと思って歌を作っています。その意味では真壁と同じ目線になれるような気がします。そういう共通項を自分の中に見つけていければと思っています。真壁もしくじりから始まっているし、心の闇も抱えているから、真摯に役に向き合っていきたいです。
・横山秀夫作品の魅力
どの作品でも、普段クローズアップされないポジションにスポットを当てているところ、普段は人々が知るよしもない人間臭い部分を描いてところが好きなんです。
・今後手掛ける主題歌について
悲しさやどうにもならない気持ち、救い、最後には報われるのか、形はわからないけどそんな主題歌が書けたら。登場人物が抱えるジレンマや葛藤はこの物語に出てくる人誰もが持っているものです。その部分が成就していく醍醐味を描きたいと思います。
篠原哲雄監督コメント
・撮影に向けての意気込み
僕のイメージとしては、色んな設定を通じて浮かび上がってくる人間の造形を描きたいと思っています。“中耳”にいる人間は真壁にとっては分身で切っても切れない存在です。その男の成長と愛と決別の物語だと思っています。確かな結論がいつもあるわけではないので、山崎くんに演じてもらう中で見えてくるものがあると期待しています。
・山崎まさよしの魅力
男のダメなところを自然に演じられる、人間の弱さを悪びれずに自然体に演じられるのが魅力です。色んな役で人間の表面化しない裏側も悲哀を伴って出てくる感じが僕は好きなんです。愛すべきアウトローですかね。一緒に仕事をするたびにいつも新しい山崎くんを発見できています。権力に対しての反抗心は誰にもどこかあるし、泥棒という仕事が成功するかどうかというスリル、緊張感、快楽はステージに立つ時のものと似ている気がするんです。今回も彼の魅力をどう引き出せるかが楽しみです。
・『月とキャベツ』に続いての群馬での撮影。今回はどういう風景を撮る?
今回は群馬のあらゆるところ、住宅街や田んぼや空き地といったとりとめのない空間での撮影になります。そのとりとめのない風景を乾いた面白さとして捉えたいと思っています。
■公開情報
『影踏み』
2019年春以降公開予定
原作:「影踏み」(祥伝社刊)
監督:篠原哲雄
主演:山崎まさよし
主題歌:山崎まさよし
プロデューサー:松岡周作
制作:ドラゴンフライ
(c)「祥伝社」