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高橋一生、感情がにじみ出る“無表情の名演” 『直虎』三浦春馬との相性を考える

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 NHK大河ドラマ『おんな城主 直虎』の小野政次(鶴丸)役の高橋一生が、次郎法師(おとわ)役の柴咲コウに向ける視線が切ない。

 三浦春馬扮する井伊直親(亀之丞)が10年ぶりに井伊谷へ帰還したことで、本格的におとわ、直親、政次の三角関係が動き出し、怒涛のラブロマンス展開を見せる『おんな城主 直虎』。高橋一生の初登場回にして直親の帰還が描かれた第5話と、三人の三角関係が動き出した第6話、直親とおとわの関係を見守ろうと決めながらも、自身の内にあるおとわへの想いが見え隠れする政次の演技が印象的だった。

 そんな政次が、亀之丞を待ち続けるおとわを一歩離れた位置から見つめる場面。高橋の演技のすごさは、明確に表情を作らなくても感情が伝わってくるところだ。一見無表情に見えるが、“がっかりした無表情”、“イライラしている無表情”、“喜んでいる無表情”など細やかな表現がそこには含まれている。ドラマ『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(フジテレビ系)の佐引穣次役や『民王』の貝原茂平役など、無表情のバリエーションが豊かだからこそ、感情を表情に出さない役柄によく抜擢されるのだろう。本人も「余白を残す演技を大切にしている」と語っているように、視聴者の想像力を大事にするという芝居のスタンスから、“無表情の名演”は生まれたのではないだろうか。

 互いに気持ちは通じ合っているが、なんらかの障害によって結ばれることができない主人公とヒロイン、そしてその間に割って入ろうとするライバル、というキャラの配置はラブロマンスでよく見られる構図だ。本ドラマにおいては、三浦春馬と高橋一生が、柴崎コウを巡って火花を散らすが、そのふたりのコントラストが明確であるため、今のところ分かりやすく観ることができる。

 直親は、人を惹きつけるカリスマ性や行動力を備えている快活な好青年。三浦春馬がかつてラブコメ映画『君に届け。』で演じた風早くんのイメージに近い。一方、政次は、かつて亀之丞とおとわの仲を引き裂いた小野政直を父に持ち、井伊家や直親にもわだかまりを抱えているためか、どこかシニカルで影のあるキャラクターだ。ドラマ『カルテット』(TBS系)の家森諭高役、大河ドラマ『軍師官兵衛』(NHK)の井上九郎右衞門役など、高橋一生はクールで知的な役やニヒルな役がよくハマる。内省的な表情を持ち味とする高橋は、明るく誰からも慕われる主人公タイプと対立する役とは、とても相性の良い役者だといえる。

 『直虎』第6話では、直親が「お互い親には苦労するな」と政次に語り、労うシーンがある。きっとこれは直親の心からの言葉なのだろうが、直親に複雑な感情を抱き、彼に劣等感すら感じている政次にとっては、なによりも辛い言葉だったのではないだろうか。史実では最終的に仲違いするふたりだが、そこで見せた三浦の朗らかな笑顔と、影を落とした高橋の表情の対比は、今後の行く末を物語っているようだった。

      

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