『ラヴ上等』“金髪刺青メンヘラ女”小野乙葉が半生を曝け出したワケ「私は“お人形”みたいだった」

2025年12月に配信された恋愛リアリティーショー『ラヴ上等』(Netflix)。“ヤンキーの男女”がむき出しの心でぶつかり合う姿は、世間で大きな反響を呼んだ。本番組のシーズン1に出演した“金髪刺青メンヘラ女”こと小野乙葉が、自叙伝『毒愛』を刊行した。
『毒愛』には、番組では語りきることができなかった、整形、パパ活、海外での逮捕など、彼女の壮絶な半生が綴られている。
「本を出すことは、まだママに言っていないんです」
すべての根底にある母との複雑な関係性。なぜいま、自らの過去を一冊の本にしたのか。その胸の内を聞いた。
母からの束縛、そして解放

ーー自身の半生が一冊の本になりました。率直に感想を教えてください。
小野乙葉:実は完成本を見るのは今日が初めてなんです(※)。本を書かせてもらった嬉しさと、どんな反応が来るのか不安な気持ちの、両方があります。書籍の帯は、推薦コメントとかではなく冒頭に載せてもらった私の直筆のメッセージから構成してもらったんです。目次には縛られた私の写真を使ってもらったり、ビジュアル的な部分も含めてスタッフのみなさんには感謝しかないです。
※取材は2026年8月上旬に実施
ーー今回の『毒愛』には、かなり攻めたグラビアページも盛り込まれていますよね。
小野乙葉:最初は「女体盛り」と「緊縛」をやりたいと思っていたんです(笑)。
ーーそれはすごい(笑)。
小野乙葉:女体盛りはいろんな関係で難しいとのことだったのですが、花魁の衣装(着物)を着させてもらいました。ページが進むごとに少しずつ着物がはだけていくんですけど、本の内容に合わせて、「束縛」から徐々に「解放」されていく様子を表現しています。緊縛は、親のしがらみ、監視、業界から抜けられない縛りみたいなものを落とし込みました。

ーー“縛り”からの“解放”は、本書において大きなテーマですよね。今回『毒愛』を書こうと思ったきっかけはなんだったのでしょうか。
小野乙葉:恋リアでは、自分の過去をすべて曝け出せてはいなかったんです。だから、みんなから見た私のイメージが曖昧になっていると思っていて、自分のことを正しく伝えるためにも、もっと自己開示をしなければと思いました。
ーー拝読させていただいたのですが、かなり赤裸々な内容でした。なぜ過去を公表する決断ができたのでしょうか。
小野乙葉:もし曝け出していなかったら、あとから色々暴露されていたと思うんです。だったらもう、自分から先に言ってやろうと(笑)。でもそれは自己防衛でもあるので、そう考えると、まだまだ自分は弱いのかなと思います。
ーー『毒愛』というタイトルには、どういった意味が込められているのでしょうか。
小野乙葉:私の人生は、“愛”に狂わされた人生だったんです。母との関係が複雑になってしまったのも、母からの歪んだ愛が原因でした。虐待をされたというわけではないんですけど、母の愛し方は私にとって、毒になっていたんです。
私はそこから逃げて、外の世界に愛を求めるようになりました。そのためには見た目を変える必要があって、だからお金を稼がなきゃと……。そうした“愛”に狂わされていった人生だったので、この本には『毒愛』というタイトルをつけたんです。
ーー壮絶な出来事がいくつも綴られていますが、その根底には「乙葉さんとお母さまの関係」があるように感じました。“歪んだ愛”だったと振り返っていましたが、どんなところが辛かったのでしょうか。
小野乙葉:ママにとって、私は“お人形”みたいな存在だったんです。だから私も、「ちゃんとしなきゃ」とずっと思い続けていました。それで、次第に本当の気持ちを隠すようになって、嘘もつくようになりました。ママの前では「完璧でいなければいけない」と思ってしまうことが、一番つらかったです。本来なら一番近い存在であるはずの親が、私の心からは一番遠い存在でした。
ーー「レールを降りることができた」と、乙葉さんがお母さまの束縛から少しずつ解放されていく様子が描かれています。そこに至るまでに、何か大きなきっかけはあったのでしょうか?
小野乙葉:ひとつのきっかけは、逮捕されたときです。それまでは、悪いことをしてもママの前では嘘をついて、ずっと仮面を被り続けていたんです。でも、逮捕されて言い訳ができなくなりました。「私はいい子じゃない」ということを、強制的にわかってもらえる状況になって、すごく楽になったんです。
ただ、それでもママは「あなたは利用されているだけ」「私が育てたんだから、絶対に悪い子じゃない」と言っていて。まだ期待されていることに絶望して、それから刺青を入れたり、ママが嫌がることをするようになったんです。
一方で、ママが育ててくれたからこそ、私はこうして気づきを得ることができたとも思っています。「これは悪いことなんだ」と気づいて、更生の道を歩み始められたのも、ママが育ててくれたからだと思うんです。そこには感謝しています。そういう意味では、私も少し大人になれたのかな。
ーー現在、お母さまとの関係に変化はありますか?
小野乙葉:ちょうど、弟が反抗期で(笑)。私は直接的な反抗期がなかったので、弟の反抗期を通して、私がずっと「お人形」を演じていたことに、ママも気づいてくれたのかなと思っています。昔に比べたら、多少は正直に話せるようになってきたんですけど、ママは私の活動については「応援はするけど、賛成はしない」というスタンスで。私が参加した恋リアも「見ない」とハッキリ言われていますし、私も「ママのことは好きじゃない」と伝えているんです。
ただ、私のなかには「ママに認められたい」という気持ちもずっとあるので、これからは堂々と「こんなお仕事したんだよ!」って言えるようになることが目標ですね。
「稼ぐ世界」から抜け出して見えた“夢”
ーー10代では、整形のためにお金を稼ぐようになったことが綴られています。整形を終えても「お金を稼ぎたい」という思いは消えなかったようですが、当時の乙葉さんにとって、「お金を稼ぐ」とはどういうことだったのでしょうか。
小野乙葉:お金があれば、いろんな経験ができると思っていたんです。気軽に都内にも行けるし、SNSの世界では、お金を持っている子たちがいろんな経験をしている。それを見て、「お金があれば、もっといろんなことができる」と思っていました。
そして、お金を稼ぐうちに、お金を稼ぐ手段そのものも“経験”だと思うようになったんです。いま思えば、犯罪に対する知識もそこまでなかったし、大金を稼ぐことでドーパミンが出て、どんどんエスカレートしていったんだと思います。
“悪いこと”だと思わないまま大金を手に入れてしまっていたので、お金も私にとって“毒”だったんだなと思います。
ーー大金を稼ぐ生活から抜け出すのは難しかったのでしょうか。
小野乙葉:そうですね。“悪いこと”をしてお金を稼ぐって、始めるのは簡単なんですけど、辞めるのはすごく難しいんです。一度入った世界から抜け出すことも難しい。私も、パパ活や夜職で稼ぐことを経験してしまうと、どんどんより手っ取り早く稼げるほうへ流れていってしまいました。そこからすべてを手放すのは、すごく大変だったんです。
ーー第6章「収監」では香港での刑務所生活について書かれています。収監時に読んだ本に書かれていたアインシュタインの言葉に感銘を受けたそうですね。普段から本は読むのですか。
小野乙葉:そうですね。活字も漫画も、フィクションもノンフィクションも読むんですけど、最近読んだものだと漫画の『違国日記』(ヤマシタトモコ/祥伝社)が好きでした。「意見の食い違いをどう重ね合わせるのか」といった、考えさせられるのが好きなんです。
アニメだったり漫画だったりで、登場人物の誰か一人に感情移入することはあまりないんですけど、こっちの立場だったら今これした方がいいよねとか、逆の立場に自分がいたらこうするとか、そういうところに着目しちゃうので、気になった作品は人の考察もめちゃくちゃ見ますね。
ーー昨今は考察ブームとも言われていますね。
小野乙葉:YouTubeの考察動画とか、その考察に対しての考察コメントとかまでめちゃくちゃ見ますね(笑)。いいねを押しながら「あ、こういう考え方もあるのね」みたいな。自分はこう思うとかじゃなくて、全員の意見を読んで結局どうなんだろうねと考えるんです。ディベート体質と言うか、俯瞰的に見ることが最近多いです。

ーー徐々に自分の人生を歩み始めている乙葉さんですが、いまの夢はなんですか。
小野乙葉:ランジェリーやお洋服を作る仕事がしたいです。専門学校は卒業したのですが、まだまだ学びきれていないことも多いので、もっと勉強して、世のなかに出せるようなものを作れたらいいなと思っています。
あとは、言葉を通した発信活動もしていきたいです。昔の私と同じような経験をしている子や、同じような思考を持っている人の気持ちはよくわかるので、私にしか書けない文章があると思っています。これからは、そういった書きものにも挑戦していきたいです。
ーー『毒愛』は、どういった方に読んでほしいですか?
小野乙葉:実は、若い人にはあまり読んでほしくないんです。私みたいな“カス人生”に憧れてほしくないし、むしろ「こんな生き方、バカじゃん」って思いながら読んでほしい。だから、10代や同世代というよりは、子どもを持つ親世代の方に読んでいただけたら嬉しいです。
ヤンキーみたいな不良少女でも、こんなふうに改心の道を歩む人がいるんだということを知ってほしい。いまも、パパ活や出稼ぎをしている子たちはたくさんいると思うんです。そんな子たちのそばにいる大人世代に、この本が届いたらいいなと思っています。

◾️書誌情報
『毒愛』
著者:小野乙葉
価格:2,200円(税込)
発売日:2026年8月19日
出版社:双葉社






















