【連載】豊﨑由美 × 佐々木敦『ガイブンレスキュー隊!』#03〈番外編〉 国書刊行会と白水社、それぞれの一推し作品は?

書評家・豊﨑由美(通称トヨザキ社長)と批評家・佐々木敦が、海外文学(通称=ガイブン)をテーマにしたトークイベント『ガイブンレスキュー隊!』。第3回は、国書刊行会と白水社の合同書籍販売会『黒と白の饗宴』の前夜祭として、開催日前日の9月25日(金)に会場となる「国書日本語学校 小豆沢校舎」を訪れて、出張トークイベントを開催。海外文学を数多く取り扱っている国書刊行会と白水社、それぞれの一推し作品を選んで、その魅力を語った。

11歳の少年が、悪魔的な天才起業家に──ウィリアム・ギャディス『JR』(国書刊行会)

佐々木:『海外文学(ガイブン)レスキュー隊!』特別出張編です。
豊崎:よろしくお願いします。今、私たちがいるのは国書刊行会さんが経営している日本語学校で、明日からここで2社合同の販売会が開かれるんですよね。向かって右が国書刊行会さん、左が白水社さん。いやもう壮観です。
佐々木:ここに来れば、2社の刊行物はほぼ全部買えるという。「相互推薦本」というコラボレーションらしいコーナーもあったりして、海外文学好きには夢のような空間です。
豊崎:海外文学をいっぱい出している出版社同士、仲がいいというのはすばらしいことです。ほのぼのしますよね。
佐々木:今日は、そんな2社から出ている海外文学のおすすめ本を豊崎さんと僕とで1冊ずつ、計4冊紹介するという企画になっています。じゃあ、僕からいきますか。
豊崎:どうぞ。
佐々木:まずは国書刊行会さんから出ているウィリアム・ギャディスの『JR』です。すごい厚みで2段組というメガノベルですね。ウィリアム・ギャディスはアメリカのポストモダン文学でも難解な一人で、この『JR』で作家としてのスタイルを確立したと言われています。長編の数は多くないんですけど、どれも分厚い。『JR』は超人翻訳家の木原善彦さんの訳です。
豊崎:2019年は木原さんの当たり年だったんですよ。『JR』で第5回日本翻訳大賞を受賞されて、その後にこれまたメガノベルのリチャード・パワーズ『オーバーストーリー』を出し、さらに『JR』の売上好調により、ギャディスの『カーペンターズ・ゴシック』も改訳復刊となりました。
佐々木:『JR』のあらすじを説明すると、主人公はニューヨークに住んでいる11歳のJ・R・ヴァンサント君です。彼は公衆電話やダイレクトメールを駆使して株の操作を始めるんですけど、それがめちゃめちゃ儲かって、ペーパーカンパニーを立ち上げ、巨大な多国籍企業に成長していきます。こう言うとビジネス陰謀小説みたいですけど、『JR』が難解だといわれる理由は他にあって、会話が「」(括弧)なしにえんえんと続いていくという文体です。
豊崎:しかもその中に情景描写とかも混じってくるんですよね。
佐々木:読んでいると、まず誰が喋っているのか全然わからない上に、話者が途中で変わったりもする。話者はそもそも何者なのか、何人いて、どんな関係性にあるのか、読者は読みながら考えていかなきゃいけないんです。そういうパズル的な小説で、しかもとてつもなく長いという大変な作品です。
じゃあ面白くないかというと、ブラックなユーモアに満ちていて、わかるところだけ読んでも十分に面白い。しかもインターネットや電子メールがまだ存在してない70年代の小説なのに、今、読んだほうがむしろリアリティがあるんです。いくつもの声が交錯する中で、謎や秘密が混ざり合って、結局何も解けないままという感じは、すごく先駆的だった。
豊崎:本当に、最初のほうは何の話をしてるのかわからないんですよね。それでも文句を言わずイライラせずに、虚心坦懐に読み進めていくと、だんだんわかってくる。
佐々木:そう。
豊崎:ギャディスという人は、陰謀と経済が好きですよね。
佐々木:そうですね。11歳にして、悪の権化みたいな天才起業家になっていく少年の話なので、イーロン・マスクみたいな人と相似形になっている部分もあって、そういう意味でも今読まれるに足る作品だと思います。コワモテな作りの小説なので、絶対オススメとは言いづらいんですけど。
豊崎:実を言うと、事前にメールで相談し合ったとき、佐々木さんが『JR』を選んできて、私は「ああ、やらかしてるな」と思ったんですけど(笑)、実は日本でもけっこう売れている小説なんですよね。
佐々木:『カーペンターズ・ゴシック』も陰謀が出てくる小説で、『JR』よりは読みやすいと思うので、まずはこちらを読んでギャディスに慣れておくというのもいいと思います。
ダメな中年男が、どういうわけか教皇に選ばれ──コルヴォー男爵『教皇ハドリアヌス七世』(国書刊行会)

豊崎:私はもうちょっと読みやすいものにしたいなと思って、最初はジョン・ケネディ・トゥールの『愚か者同盟』を候補にしたんです。そしたら品切れ状態で、在庫が残り1冊しかないと。
佐々木:今夜薦めても、明日早い者勝ちになってしまう(笑)。
豊崎:本当にダメ人間小説の極みで、面白いんですけどね。それで、コルヴォー男爵(フレデリック・ロルフ)の『教皇ハドリアヌス七世』にしました。
〈希望は先延ばしになり、孤独に打ちひしがれ、苦労は報われず、彼の心はすっかり疲弊していた〉というその人の名前はジョージ・アーサー・ローズ。下宿屋の屋根裏部屋で猫と暮らす売れない小説家です。そんな冴えない中年男のもとに、ある日、ローズの数少ない友人でウェールズ地方の司教をしているタラクリンと、ロンドンの大司教区を任されているコートリー枢機卿がやって来ます。
実はローズは20年前にものすごく不可解で不透明な理由で神学校を追い出されて、天職と思い定めていた聖職者になる道を断たれていたんです。コートリー枢機卿は過去の過ちを認めて埋め合わせをしたいと申し出るんですが、ローズは感謝するどころか、苦節20年の恨みつらみを吐き出さずにはいられない。
〈辛口を鍛え、選択と差別の技法を芸術の域にまで高め、がらくたを徹底的に滅ぼす術を習得した。おそらくそのせいで、彼は他人と完全に没交渉な人間になった〉ローズは、枢機卿という高い地位にある聖職者にも臆することなく、愚痴と文句を連打します。コートリーをして〈あなたの稀に見る執拗さ〉〈その二十年にもわたる執拗さこそ、あなたに天職が与えられていることの証拠と受け取るべき〉と言わしめるほどです。
そういう苦笑、失笑必至の高知能型ダメ男小説として始まるんですけど、この高速知能回転式おしゃべり男がですね、なんと教皇に指名されてしまう。枢機卿団によって、カトリックの頂点たる教皇が選出されるコンクラーベは、みなさん映画『教皇選挙』やダン・ブラウンの小説『天使と悪魔』(角川文庫)でご存知ですよね。
佐々木:『教皇選挙』は大ヒットしましたね。
豊崎:コートリーのおかげで神父になれたローズが、観光気分でコンクラーベが行われているバチカンを訪れたら、いきなり枢機卿団によって「あなたは聖ペテロの後継者に選出されました」となる展開には、腰が砕けました。コートリー枢機卿がローズを推挙した理由も後に明かされはするんですけど、これが説得力が薄いんですよねえ。私はこの小説全体を楽しく読んだんですけど、そこだけちょっと引っ掛かりました。
でも、そんな無茶な展開にも我らが主人公ジョージ・アーサー・ローズは動じません。指輪の授与で最初に差し出されたエメラルドの指輪を嫌って紫水晶を所望したり、枢機卿団から提案された教皇としての名前を無視して「ハドリアヌス七世」を名乗ったり、とにかく我を通すんです。こんな高知能型ダメ男が教皇になったら、どんな騒動を巻き起こすことになるか、期待を胸に第四章以降の物語を読み進めていくことになります。
これから読む人にアドバイスしたいのは、まずは訳者あとがきから読んでくださいということです。その後に、本編の366ページから381ページにまずは目を通してください。
佐々木:最初から読むのではなく?
豊崎:というのもですね、この場面でハドリアヌス七世はローズに戻って、自分の半生を枢機卿たちに弁明してるんですよ。それを知ってから冒頭から読んでいったほうが絶対に入りやすい。
佐々木:なるほど、訳者あとがきと二段構えで準備して。
豊崎:そうです。教皇になってからのローズって、意外とダメじゃないんですよね。結構ちゃんとした改革をしようとするんです。とは言え、やっぱりこの小説はコミックノベルとして読んでいいんじゃないの? と私は思っています。ローズという稀代の高速おしゃべりクソ野郎が、どんなふうにして一介の神父の立場から教皇ハドリアヌス七世になっていくのか、そして教皇として何をやらかすのかを、ただただ楽しんでいただきたいです。
佐々木:本の見た目としては、『JR』と同じくらいのコワモテ感があるんですけど、中身はダメ男のコミックノベルだと。
豊崎:しかも、ダメ男はローズだけじゃなく、他にもいっぱい出てくるんです。男の園であるバチカンが主な舞台であり、『ヴェネツィアからの誘惑 コルヴォー男爵少年愛書簡集』(白水社)にまとめられているような同性愛めいた手紙を書いている人物なので、BL小説もかくやという場面もあったり、今でいうところのキャンセルカルチャーを想起するようなエピソードも入っている。しかも、全ての出来事がたった一年の間に起こったことで、ギュッと圧縮された内容なんです。最後はめでたしめでたしで終わるのもいい。ぜひ手に取っていただきたい小説です。
ボラーニョ入門の1冊として──ロベルト・ボラーニョ『[改訂]通話』(白水社)

佐々木:では白水社さんの本に移りましょう。先ほど豊崎さんが『愚か者同盟』が品切れ状態でという話をしていましたが、僕も最初、ロベルト・ボラーニョの『2666』を選んで、残念ながらこれも絶版でした。それで、ボラーニョ・コレクションの中の『[改訂]通話』をオススメしようと思います。ボラーニョはチリ出身の作家で、詩作から始めて小説を書くようになって、生前はそれほど高くは評価されていませんでした。英訳が出るようになって、やっと評価が固まってきたところで、2003年に50歳で早逝してしまいました。
『2666』は彼の死後に出版された小説で、他にもいろいろ出て翻訳も進み、ボラーニョブームみたいなものが世界的に起こったわけなんですけど、その流れの中で、2009年に白水社から『通話』という短編集が松本健之さんの訳で出たんです。僕はこれでボラーニョを知りました。この時は単発の刊行だったんですけど、のちに『[改訂]通話』としてボラーニョ・コレクションに加わり、全8巻のシリーズの中の1冊になりました。その一方、『2666』や『野生の探偵たち』といった長編の日本語訳も白水社から刊行されていったわけですが、僕が最初に『通話』を読んだときはそんな未来は見えてなくて、単純に、全く知らない作家だけど、むちゃくちゃ面白いと思っていました。
ボラーニョの小説にはいくつかのはっきりした特徴があって、まず文学者というか物書きが主人公の小説が多い。そう言うとブッキッシュな作風なのかなと思われるかもしれませんが、物書きたちが恋愛模様を繰り広げたり犯罪に巻き込まれたり、探偵みたいなことをしたりと、物語的にも動きがあるんです。その中で文学的な教養への目配せも利いていて、ガイブン好きにとっては、こんな名前が出てきたとか、これってあの話のことなのかなと思う楽しみもある。その上でこの人の作風にはロマンがあるんですよね。
豊崎:そう、ボラーニョはエモいんです。
佐々木:チャールズ・ブコフスキーみたいな雰囲気もあれば堀江敏幸みたいな感じもあるという、ありえないハイブリッドが起きているのが、ボラーニョの小説です。
『2666』は、一つ一つが長編小説くらいの長さを持つ5つの「部」が、最初は全く関連しないように見えるところから、だんだん繋がっていって、最終的に一つの物語が形成されるというメガノベルです。アルチンボルディというドイツの作家について調べている文学研究者の人たちの話から始まって、それがメキシコで起きた連続娼婦殺人事件につながっていく。実在の事件を元にしているんですけど、娼婦の人たちがどんどん殺されていく「部」がめちゃくちゃ長いんですよね。
豊崎:第4部の「犯罪の部」ですね。
佐々木:誰々という名前の娼婦がこういう商売の仕方をしていて、こういう形で死体が見つかって、というのが百人ぐらい延々と続いて、物語というよりもレーモン・クノーの小説のような言語遊戯の感がある。あるいは筒井康隆さんみたいな感じですね。読んでいると第四部はいつまでも終わらないし、次から次へと女性が死んでいくのに、犯人はわからないということで、だんだん恐ろしくなってくる。何を読まされているんだろうなと不安になります。
豊崎:もしくは感覚的に麻痺してきますよね。人が一人死ぬって本当は大変なことなのに、あれだけ淡々と列挙されると一つ一つの死が軽くなっていくというか。
佐々木:記号化していると感じて、そのこと自体に怖さがある。僕はここが好きすぎて、かつて飴屋法水さんに『2666』の第四部をもとにした演劇を作ってもらい、プロデュースしたことがあるんです。2が白鳥に見えるということで『スワン666』というタイトルになり、『2666』とは違う物語になるんですけど、そういう意味でも思い出深い作品です。
とは言っても今は買えない状況なので、ボラーニョ・コレクションで『[改訂]通話』をまずは読んでいただいて、再び『2666』が読める状況になるのを待ってほしいなと思います。ボラーニョ・コレクションは装丁もいいので、八冊全部揃えると壮観です。
豊崎:佐々木さんはさ、『野生の探偵たち』と『2666』だったら、『2666』派なんですか?
佐々木:いや、物語としてのスリルというか面白さは『野生の探偵たち』かもしれないです。でも、『2666』は読んだときの衝撃がすごかった。あの第四部があって、最終的にはこういうお話になっていくんだという。
豊崎:『野生の探偵たち』にも『2666』の第四部と似たところがあって、美しい女性の詩人が砂漠で消えてしまって、それを探しに行くという展開があります。私はどちらかというと『野生の探偵たち』派なんですけど、『2666』もすごく好きな小説です。
あらゆる小説的実験が入り込みつつ、難しくない──サルバドール・プラセンシア『紙の民』(白水社)

佐々木:では豊崎さんが選んだ、白水社の1冊にいきましょうか。
豊崎:『JR』や『2666』と比べるとずっと薄い本です。
佐々木:いや、薄いけどさ(笑)。
豊崎:薄いけどさっていうね(笑)。いわゆる、登場人物が勝手に動き出す作品だったら、レーモン・クノーの『イカロスの飛行』(ちくま文庫)とかフェリペ・アルファウの『ロコス亭 奇人たちの情景』(創元ライブラリ)がありますよね。凝りに凝った文字組みで驚嘆させてくれる奇書だったらマーク・Z・ダニエレブスキーの『紙葉の家』(CBSソニー)が、複数の登場人物の言動を照応させるという形の前衛小説だったらB・S・ジョンソンの『老人ホーム』(創元ライブラリ)がある。でも、このサルバドール・プラセンシアの『紙の民』にはその全てが入っているんです。にも関わらず、全く難しくないという小説です。
佐々木:すごく面白いですよね。
豊崎:メキシコで農夫をしていたおねしょ男のフェデリコ・デ・ラ・フェが、妻に出て行かれた傷心を抱えつつ、幼い娘リトル・メルセドを連れて国境を越え、ロサンゼルス郊外の街エル・モンテに移住するんですね。で、新生活を始めるんですけど、彼は少し前から自分を遥か高みから見下ろしている力の重みを感じていて、ついにそれが「土星」であることに気づきます。かくして、フェデリコ率いるギャング集団EMF(エル・モンテ・フローレス)の対土星戦争の幕が開く──というのがメインストーリーなんですけど、そんなもんじゃ終わらない小説です。
佐々木:メインストーリーから、なんちゅう話だという感じではありますが。
豊崎:帯で明かされてるから言っていいと思うんですけど、実は「土星」というのは作者プラセンシアその人なんですね。彼もまたフェデリコ同様、愛する女性に去られて深い悲しみにのたうち回っているっていう大外枠の物語があるんです。
つまり、フェデリコと作者は相似形なんですけど、フェデリコは、妻が出ていったのは「土星」=作者がそういう物語にしたからだと考えていて、妻を取り戻すためにも対「土星」戦争に勝利しなければならないと思い込んでいる。一方で、作者は自分の失恋に苦しんでいて、フェデリコたちの話なんてどう転んでもいいと思っている。そういう作者の自己言及的なストーリーに、紙を折って人体の臓器を作る「折り紙外科医」と、彼が作った紙の民である女性が絡んできます。
佐々木:タイトルの由来ですね。
豊崎:女性の名はメルセド・デ・パペル。さらに、カトリックの聖人であることを隠して戦い続けているメキシカン・プロレスラー、全知の預言者ベイビー・ノストラダムス、作中ではメキシコ生まれという設定になっているビッチ女優リタ・ヘイワース、鉛でできたキカイガメ、蜂フェチの女性、新婚だけが泊まれるホテルを経営している夫婦など、大勢の個性的なキャラクターが出てきて、無類に面白い物語が重層的に展開していくんです。
そして、最初に「凝りに凝った文字組み」と言ったように本文のレイアウトが自由奔放。文字がだんだん薄くなって消えてしまうページとか、『トリストラム・シャンディ』(岩波文庫)の有名なブラックページみたいに文章が黒く塗りつぶされて読めない箇所があるとか、同一エピソードで話者が重なるごとに三段組や四段組になったりとか、もう大変。
そういうモダニズム文学以降のテクニックのみならず、「作者の介入」という19世紀末には廃れてしまった技法も、大胆なスタイルで再使用しています。世の中にはいろいろな芸術がありますけど、小説の自由度の高さというのはやはり突き抜けていると、『紙の民』を読むと思うんですよね。小説というのは何をやってもいいんだよということを教えてくれる作品です。
佐々木:ページを開いていくこと自体が楽しいんですよね、驚きがあって。
豊崎:さらに言えばプロレスファンも必読なんですよ。初代タイガーマスクの佐山サトルが美味しい役で出てくるので。
佐々木:そうでしたね。
豊崎:出てきたとき、びっくりしましたから(笑)。ダメ人間小説でもあって笑えるんですけど、実は読後には意外なほどの悲しみが残って、胸に刺さるんです。
佐々木:そう。切ない小説なんですよね。
豊崎:ヘンテコさに隠れてしまいがちなんですけど、愛の喪失を巡る物語なんです。この小説が出てから15年の月日が経ったわけで、その間に素晴らしい海外文学をいろいろ読んできましたけど、もしかしたら私が今も一番チャーミングだと思っている小説は『紙の民』かもしれません。
佐々木:ずっと手に入りにくい状況が続いていたんですけど、最近、重版がかかったんですよね。今なら新刊で買えます。
豊崎:これだけ奇妙奇天烈で、これだけ悲しく、これだけ笑える小説が他にあったら教えてほしい。そういう作品ですね、私にとっては。そして、訳すには種々の困難が伴うであろうこの小説をあっさり訳せてしまう訳者が他にいたら教えてほしい。柴田元幸さんも、帯の推薦文で、訳者の藤井光さんを大絶賛しています。
佐々木:木原さんといい藤井さんといい、やっぱり超人翻訳家あってこその海外文学ですよね。
豊崎:翻訳文学に関しては、私たちは日本にいて本当に幸せなんですよ。優れた翻訳家が各言語に揃っているので。


![[改訳]通話 (ボラーニョ・コレクション)の商品画像](https://m.media-amazon.com/images/I/51tTcjUDWfL._SL500_.jpg)






















