実写『ブルーロック』でカットされた原作の“重要シーン”とは? キャストの再現度と省略された設定を解説

原作・金城宗幸、作画・ノ村優介による同名の人気サッカー漫画を実写化した映画『ブルーロック』が公開され、話題を呼んでいる。本作は日本をW杯優勝へ導くストライカーを育てるため、全国から集められた300人の高校生フォワードたちが「青い監獄(ブルーロック)」で熾烈なサバイバルを繰り広げる“サッカー版デスゲーム”。劇中では、主人公・潔世一役の高橋文哉、ブルーロック責任者・絵心甚八を演じた窪田正孝、作中屈指の人気キャラ・凪誠士郎役を演じたK(&TEAM)など、映画サイトのレビューでは出演陣の“再現度”が絶賛されている。
ストーリー自体も概ね原作の展開を踏襲しているが、約2時間という映画の尺に収める都合上、カットされたエピソードや説明が省略された設定も散見された。そのため、原作未読勢にとっては、選手たちの行動理由に対するわかりづらさが、原作・アニメ勢にとってはお気に入りシーンが削除された物足りなさを感じた部分もあったのではないだろうか。
たとえば、劇中のフォーメーションやポジションに関する描写だ。映画では潔と蜂楽廻(櫻井海音)が常に最前線に配置されているように見え、何よりも伊右衛門送人(岩永丞威)がGK固定となっていたことには、“なぜ?”という疑問を通り越して「気の毒」と感じた人も少なくなかったことだろう。
原作では、1試合目はジャンケンに負け、2試合目は10分ごとにポジションが変わるルールを決めるも自らGKを志願。3試合目になってようやく本人も「俺はずっとGK固定なのか…?」と軽い抵抗を見せるも、「しゃーねぇだろ?」「今更何言ってんだ?」とチームメイトに一蹴されてしまい、負けたら終わりの4試合目は、攻撃力のある潔や蜂楽を軸にする戦術となり、伊右衛門は当たり前のようにGKに。頼まれたら断れない性格ゆえにチームのために役割を引き受けたという切ない設定が存在するのだ。
また、「日本サッカー界の宝」と自称する吉良涼介(倉悠貴)のランキングが「289位」だった点にもツッコミが入りそうだ。しかし、これは後に絵心の口からも明かされているが、実は施設内には伍号棟しか存在せず、世界一を目指すための“ハングリー精神”を植え付けるために、すべての選手に「自分たちが最底辺レベル」と思い込ませていたという仕掛けが存在した。つまり、吉良の初期評価はチームZの最上位で、実は絵心からも期待されていたことがわかる。1巻では潔が自身と吉良との差を「悟空とクリリンくらい離れている」と認識している台詞もあり、もし吉良が生き残っていれば、エゴいストライカーに成長した余地は十分あったと言える。原作では、とあるプロジェクトで再登場しているので、落胆したファンは気長に待ってもらいたい。
さらに、チームZの久遠渉(浅野竣哉)が作中で見せた裏切り行為についても、原作では彼の過去が丁寧に描写されている。弱小校で地区ベスト8という結果に満足する部員に対し、一人だけ全国制覇や日本代表を目指していたことで、仲間からは「お前とサッカーをやっても楽しくない」と煙たがられて孤立。その苦い経験から「仲間などいらない」と考えるようになり、“同情の余地”が残されている。
何より原作勢が最も惜しんだのが、國神錬介(野村康太)の“原点”がばっさりカットされていたことだろう。潔に食堂で「サッカーでスーパーヒーローになる」という夢を語る原作のシーンは、彼のキャラクター性を象徴する場面であった。「ヒーロー」というワードはその後の展開でも重要な意味を持つだけに、続編を想定しているのであればなおさらこのエピソードは残しておいたほうが良かったのではないだろうか。
ともあれ、実写『ブルーロック』がキャスト陣の熱演と制作陣の原作解釈一致による良作との評価に異論はないだろう。ラストには新キャラもチラ見せされていたが、映画をきっかけに作品にハマった人は、ぜひ今のうちから原作コミックスで予習してほしい。
◾️書誌情報
『ブルーロック』
原作:金城宗幸
漫画:ノ村優介
価格:594円〜627円(税込)
出版社:講談社


























