【漫画】新卒社会人は「憧れの会社なんでしょ?」に逆らえない? 『#適ぼっち』が描く孤独と救済

【漫画】「憧れの会社なんでしょ?」

 SNSは孤独な人間を、どこまで救えるのか――。適応障害を抱えた新卒社会人&ぼっちの配信者。不器用なふたりの繋がりを描いた漫画『適応障害で会社を辞めた新卒とぼっち配信者(#適ぼっち)』が、Xで9万いいねを超える反響を呼んだ。

 作者は甘井さん(@amai_taiyaki)。連載化・コミックス第1巻発売を迎えた本作の誕生秘話から制作への思いまでを聞いた。(小池直也)

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『適応障害で会社を辞めた新卒とぼっち配信者』(甘井/スクウェア・エニックス)

――多くの反響が集まっていますが、これについていかがですか?

甘井:たくさんの方に読んでいただいて、本当にありがたいなと思いました。それだけで贅沢なことだと思っているので、読んでくださった方々に感謝です。

――本作の着想について教えてください。SNSを物語の軸に据えた理由は?

甘井:この作品を描いたのはコロナ明けでしたが、あの期間を経験するなかで「SNSは社会と繋がる窓なのだな」と。視聴者は配信者に救われ、配信者は視聴者に救われ支えられている――そう感じることが多かったです。「じゃあ、どういう人にとってSNSが優しい社会との繋がりになるだろう?」と考え、本作に登場するふたりが生まれました。

――村上(主人公)の適応障害の描写がリアルでした。

甘井:私は主人公に没入して制作するので、そう言っていただけて嬉しいです。専門書を読んで、適応障害で苦しんだ方たちの気質や症状などを学び、その一例として主人公目線から描きました。

――もう一方の主人公・あぽはどのように生まれたのでしょう。

甘井:あぽは、自然に生まれたキャラクターです。特定のモデルはおらず、インスタで彼女が憧れるであろう、お洋服の店員さんやアイドルの配信を観て、それを参考に動いている気がしますね。

――本作を描く際に意識したことや狙いなどはありましたか?

甘井:村上の上司・佐藤は、瞬間的に接すると理解できない圧や振る舞いをするキャラクターにしました。連続的にされたり真意がわかってくると、当人にとって大きなストレスですが、周りから断続的に見るとなかなか問題がわからない。

 最近だと、わかりやすいパワハラはすぐ問題になるじゃないですか。でも、こういった上手くやる人はどこにでもいて、周りに意を決して伝えても「考えすぎ」とか「あの人、そういうとこあるから」と受け流されたりする。

 そして「やっぱり自分が駄目なのかも」と自身を責めてしまう方が多いのかなと。そういう方が「苦しんでいるのは自分だけではないんだ」と思っていただけたら、と描いた部分はありました。

――大変だった制作エピソードなどがあればお願いします。

甘井:村上はやっぱり適応障害に苦しんでいるので、描いている私も村上と同じような感覚になるんです。辛いシーンを描くときはしんどいし、あぽに救われるシーンを描くときは心が軽くなります。

 制作時は大丈夫でも、描き終えた瞬間にどっと疲れが出て「ああ、しんどかったんだな」と自覚する瞬間もありましたね。

――本作の人気が功を奏し、連載化されたということで。

甘井:多くの方から続編のリクエストをいただいたんです。それに自分でも描きたい気持ちがあり、描き始めたんですよ。そこで「本作を連載にしましょう」と声をかけてもらえたときは驚きました。

 まさか投稿作のふたりが、自分にとっての初連載の主人公たちになるとは……。応援してくださった読者の皆さま、そして連載を支えてくださる担当さんや携わってくださる方々にも、感謝の気持ちでいっぱいです。

――コミックス第1巻の発売が4月7日に控えていますが、今のご心境はいかがですか?

甘井:私は物心ついた時から本屋さんが大好きで、「いつか自分の本が並ぶ光景を見てみたい」と夢見てきました。

それに作品が本になって本屋に並ぶということは、たくさんの方が携わって本が送り出され、書店員さんが並べようと思ってくれたということで……。ものすごいことじゃないですか。嬉しくてたまりません。発売日には本屋さんを何軒も回るつもりです。

――今後の意気込みをお願いします。

甘井:「この回で終わっても後悔しない」という気持ちで、毎話毎話を精一杯の気持ちを込めて描いています。これから村上とあぽがどのように生きるのか私もわかりませんが、一緒にふたりを見守っていただけたら嬉しいです。


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