【漫画】実の娘じゃないと接し方がわからない? 『親友の忘れ形見を幸せにする話』で描かれる家族の形

【漫画】実の娘じゃないと接し方が……

 親子の形は、実は多種多様である。2023年10月からpixivなどで投稿が開始され、現在までに100を超えるエピソードが描かれているシリーズ『親友の忘れ形見を幸せにする話』は、親子の愛の形が無数にあることを示している。

 Xには2月下旬、同シリーズの「お買い物編」が投稿された。主人公・穂高晃一が亡くなった親友の娘・陽菜緒を引き取った後、心の距離がぐっと近づく内容が描かれている。本作の作者・みなみさん(@minami_carapare)に、同シリーズを制作した経緯など、幅広く話を聞いた。(望月悠木)

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『親友の忘れ形見を幸せにする話』(みなみ)

制作当初の構想とは異なる?

――『親友の忘れ形見を幸せにする話』の制作を始めた当時の状況を教えてください。

みなみ:このシリーズの根幹として『生意気だった後輩と立場が逆転したので仕返しする話』という漫画があって、その漫画が終わりに差し掛かったころに、「このキャラのスピンオフを描いたら面白そう」と思い、「距離感が近い先輩の話」を描いている合間に設定を練っていました。

――亡くなった親友の娘を引き取り、ともに生活していくという設定にした経緯は?

みなみ:制作当初は「家の前に捨てられていた子供を育てる」という構想でしたが、それだと主人公の晃一さんが、お金と権力で解決できてしまいます。加えて、「じゃあ私が育てる」とはならない性格なので、晃一さんが「自分が育てなくては!」と思うようにするため、“親友の忘れ形見”という設定にしました。

――最初は喋れなかった陽菜緒が、徐々に喋れるようになり、笑顔も増えていくストーリー展開でしたね。

みなみ:まず“ストーリー上の決めごと”というか縛りとして、「陽菜緒が喋れるようになるまでは、心の声すら読者に見せない」という点を徹底しました。意思の疎通が難しい状況でないと、親として試行錯誤しながらあたふたする晃一さんを描けないので。陽菜緒ちゃんが喋れない中で晃一さんを父親として受け入れていく過程と、徐々に父親としての自覚が芽生えてくる晃一さんの変化を、丁寧に描くことを心がけていました。

――描き上がっての手応えとしてはどうですか?

みなみ:苦労した甲斐あって、第一部終盤の「たすけておとうさん」のカタルシスにつなげることができました。

――また、「少女を成人男性が引き取る」と聞くと、若干の「怖さ」が生まれます。晃一の邪さを消すために注意したことは?

みなみ:晃一さんは責任感が強く、意外と義理も通す人なんです。ただ、「人の辛い部分にうまく寄り添えない」「ある意味融通が利かない」という欠点を抱えています。その部分を強調していくことで、読者に「晃一さんが陽菜緒に対して邪な思いを抱いていない」と伝わるようにしました。

続編の制作予定

――今回掲載した「お買い物編」では、まだまだ遠慮がちな陽菜緒が、静流のサポートによって晃一と距離を縮める様子が描かれていました。同エピソードはどのような狙いで制作されましたか?

みなみ:今後の展開を考えるうえで、「静流さんとの接点を持たせたかった」というのが大きいですね。

――現在100話以上が制作されていますが、思い入れのあるエピソードを教えてください。

みなみ:やはり第一部終盤のエピソードですね。あとは、静流さんのお店で晃一さんと陽菜緒ちゃんが一緒に首をかしげながらケーキ選びに悩むシーンです。

――現在、pixivのほうでは1年ほど続編の投稿はありません。今後、本作の続編の予定は?

みなみ:本シリーズを描いている時、環境の変化や人間関係の影響でかなりメンタルをやられてしまい、しばらく漫画を描く気力が起きない時期がありました。ただ、現在はまた漫画を描けるほどには持ち直したので、今描いているシリーズを描き切ったら、今度こそ続きを描いていきたいと思っています。

――改めて、今後はどのように漫画制作を進めていく予定ですか?

みなみ:現在は介護職で働いているのですが、それは変わらず続けながら、その合間に漫画を描いていくスタイルでやっていければと思っています。今の世の中、作品を発表する場はたくさんあるので、「商業連載を持ちたい」といった願望は現状ありません。これからも自分が描きたいものと、「読者が読みたい」と思っているものをうまく照らし合わせながら、漫画を描いていきたいです。

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