【漫画】“推し疲れ”のきっかけは? 健やかに生きるきっかけをもらえる『いつもの場所に座って』

“推し活”が一般化した昨今、推すことに生きがいを見出す人は少なくない。その反面、推すことに疲労感を覚える“推し疲れ”というワードも耳にするようになった。12月上旬にXに投稿された『いつもの場所に座って』は、“推し方”について考えたくなる読切漫画だ。
自分に合った推し方を模索するきっかけを与えてくれる本作の作者・ピコライフさん(@pikolife_)に、制作した経緯などを聞いた。(望月悠木)
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「自分は何をしているんだろう」と惨めな気持ちになった
――今回『いつもの場所に座って』を制作した背景は?
ピコライフ:もともとブログサイトのコンテストに応募するために考えた作品です。一応、物語の輪郭はうっすらとあったのですが、「〆切まで時間がないから」と他の作品を描いていました。
――どこか諦めモードだったと。
ピコライフ:そうですね。ただ、ある日「間に合わなくても描きたい」と思い、急ピッチで仕上げました。「せっかく展開が思いついたので、とりあえずどのくらい描けるか挑戦してみたかった」という気持ちがあったんですよね。
——“推し活との距離感”を考えさせる内容でしたね。
ピコライフ:昔は憧れの人が載った雑誌を集めたりするだけで良かったのですが、ネットの普及に伴って見えなくて良いものが見えてしまったり、「誰よりも応援してるんだ! 認めてくれ!」みたいな承認欲求が出てきたりして、「自分は何をしているんだろう」と惨めな気持ちになることがありました。
――「何のために推しているの」となりますよね。
ピコライフ:はい。そうしているうちにトラブルや嫌なことも出てくるので、「自分はコミュニティの中で何かをするのが苦手なんだ」ということに気付き、それからは重めの推し活や特定のコミュニティに入ることはしないようにしました。漫画制作には時間がかかるので、自然と自分に集中できるようになったことも良かったですね。
バスの描写が示した意味
——区民センターのスペースで創作活動を行い、「カニピンのオフ会に参加する」という夢を見る、と展開されていましたが、ストーリーはどのように決めましたか?
ピコライフ:静かにコツコツと制作する地味なシーンと、ワイワイ楽しいシーンを対比させたくて夢のシーンを入れました。物語の最後に出てくるモデルになったホテルは、今年行って最高だったので「それも漫画に加えたい」と思い、「夢が叶った」という感じでまとめました。
――ストーリーを描くうえでこだわりなど教えてください。
ピコライフ:「推し活はまるで人の車に乗っているみたいだな」と思い、バスの描写を入れました。また、カニの被り物はファン活動を馬鹿にしているのではなく、「いろんなイベントが発生するテーマパークにいるみたい」という雰囲気を出したかったため、あのような表現にしています。なにより、あまり「誰かが悪い!」と誰かを責める内容にならないように意識しました。
——改めてピコライフさんが考える、推し活との適切な距離感を聞かせてください。
ピコライフ:自分は承認欲求が強すぎるため、推し活ととても相性が悪い人間です。なので、「好きなものはたくさん作るけど、のめり込まない」をモットーにしています。私自身もこのことに最近気がついたばかりなので、あまり偉そうなことは言えませんが…。
――最後に今後、漫画制作をどのように進めていく予定ですか?
ピコライフ:Xやnote、KindleインディーズでWeb用のショート漫画をコンスタントに発表することと、同時に商業用の投稿も視野に入れています。自分がどこに住んでいても生活できるように、漫画で生計を立てられるようになりたいです。また、「これまでの人生で苦労したことや上手くいかなかったことなどを、エッセイ漫画で上手に昇華できたら」と思っています。
■ピコライフ note:https://note.com/pikolife_






















