【漫画】「御社が第一志望です!」就活生の本音は? 就活バトル『採用の仮面』 が面白い

本音と建て前が交錯する就活最前線――。他人の心の声が聞こえるようになってしまった勘違い人事が、自分の存在を賭けて学生たちの本音と向き合う。
そんなビジネス×バトル漫画『採用の仮面』は、「マンガUP!」(スクウェア・エニックス)で連載中のLinkedInでも話題を呼んだ異色作だ。元人事担当だからこそ描けるリアルな狂気と滑稽さ。この背景について、作者・しそまるさん(@oobanoillust)に話を聞いた。(小池直也)
続きを読むには画像をクリック

――連載の反響はいかがでしょう。
しそまる:実はXにアップした時には全然ありませんでした(笑)。ただビジネス向けのSNS・LinkedInで就活生や人事の方々に読んでもらえたようで、「こういう漫画は見たことがなくて面白い」という感想をいただいてます。それをきっかけにリアルなイベントや会社でセミナーをさせてもらったり、ということに繋がったりもしてますね。
――本作はご自身が採用のお仕事をされていたという経験が活かされていると思いますが、この制作について知りたいです。
しそまる:会社を辞めて漫画を描き始めて4年目になります。人事をやっていたときは就活生に「御社は素晴らしいですね」と言われることもあったのですが、絶対そんなこと思ってないよなと心では思っていて(笑)。学生は学生で本音もあるでしょうし、そんな内容の漫画なら面白いなと考えていたんですよ。
――心が読める特殊能力が途中で発現するのも興味深かったです。
しそまる:能力が使える前と後で違いがあった方が、主人公の絶望感が演出できるかなと思ったんです。
――なぜ主人公がクセ強なキャラになったのでしょう?
しそまる:人事をやっていると「内定の決定権を持つ自分が偉い」みたいな勘違いをする瞬間があるんですよ。だから「やけに偉そうだな」と感じる学生さんもいるかもしれません(笑)。そこで特に第1話は勘違いリクルーターを100パーセント描いて、就活生の本音を叩きつけられるような展開にしました。
――過大表現な作画でクレイジーさが強調されている感じもしました。
しそまる:『二月の勝者-絶対合格の教室-』(高瀬志帆/小学館)や『ドラゴン桜』(三田紀房/講談社)などの知識で楽しませてくれる作品と比較されたら、新人の僕は適わないと思ったんです。
そこで絵や表現、コマ割りなどの画面の迫力で楽しんでもらえるような作品で勝負できたらなと。だから基本的に演出はバトル漫画を意識しています。「ビジネスにおけるバトル漫画」というイメージですね。
世界観を壊してもいけないので、リアルさとバトル演出のバランスを取ることに毎回苦労しています。「主人公の変顔が多すぎる」というコメントもありました(笑)。
――実体験なども含まれているのでしょうか?
しそまる:自分の経験だけでなく、取材を通して聞いた話など色々な形で実話を基にはしています。第一志望だと言いつつ、最後に「色々な会社を見て~」と話すのも“あるある”だったり。
――今後、本作はどのように描いていきますか。
しそまる:コミックスの売上やアプリでどれだけ読まれるか、にもよると思いますが描き続けていきたいですね。
あとは「感情的知性(エモーショナル・インテリジェンス)」や「オープン・クローズドクエスチョン」などのビジネス用語をバトル漫画の必殺技のように登場させているので、「アナロジカルシンキング」や「セルフ・アウェアネス」なども出す予定でいます。次はどんな技が出てくるんだろうと期待してもらえたら。
©Shisomaru/SQUARE ENIX






















