【漫画】トー横にいた金なし家なしの少女、漫画の才能は別格で……編集者との人間ドラマ『マンガラバー』

【漫画】トー横で出会った金なし家なし少女

 トー横で取材をする漫画編集者の前に現れた、目力の強い少女。漫画を見てほしいと口にする彼女だが、編集者は乗り気ではなく……。

 「月刊アフタヌーン」(講談社)で連載中の漫画『マンガラバー』の第1話がXにアップされた。作者は、吉田ゆうこ名義でも活動する漫画家・文村公(@fumi_hamu)氏。今回は本作のテーマや舞台について、文村公氏に話を聞いた。(青木圭介)

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『マンガラバー』(文村公)

ーー本作を一言で表すならどんな作品でしょうか。

文村公:『マンガラバー』はトー横を舞台に、漫画の才能を持つ少女・美澄とその美澄の才能に惚れ込んだ編集者・柳井の関わりを描いた作品です。

ーー変わっているところがありながら、人を惹きつける感性を持つ美澄が魅力的でした。“天才”という存在を描くうえで意識した点はありますか?

文村公:元々、ぼんやりしたタイプのキャラクターが好きなんです。それに、そういう肌触りが異質なキャラクターの方が天才っぽいのかなとも思って、美澄も少しぼんやりしたキャラにしました。ただ、漫画に対する価値観は職人気質な感じをイメージしていて。逆に編集者の柳井は商業ベースで物事を考えるタイプなので、隣に置いたときにキャラクターとしての相性もいいのかな、と。そうやって天才像を作っていきました。

ーー漫画家×編集者という関係性で漫画を描こうと思った理由を教えてください。

文村公:この漫画は元々、『まんがを愛する生き物たちよ』というタイトルで、それを短くして今のタイトルになりました。『マンガラバー』というタイトルになって日が経ちますが、私は今でもこちらの長い方のタイトルの気持ちでこの漫画を描いている部分があります。この漫画はいわゆる「漫画家漫画」でもありますが、自分としては「漫画にまつわる人たちの人間ドラマ」なんです。なので、「そこにメインで登場するなら……」と考えたときに、そこはやっぱり漫画家と編集者がいいと思いました。漫画家と編集者って、それこそドラマになる濃い関係性だと思うので。

ーー作品の舞台をトー横にしたのはなぜですか?

文村公:「月刊アフタヌーン」の編集者さんに初めてお会いしたとき、描きたい漫画はある? と聞かれて「東京観光をテーマにした漫画」の話をしました。元々東京が好きで、特に新宿は学生時代の縁もあって身近な街だったんです。東京観光の漫画の時点で柳井、森、美澄の3人はすでに存在していて、「地方から出てきた美澄に柳井と森が東京を紹介する話」を考えていました。でもそれがどうしても面白くならなくて。

 東京での生活で経済的に余裕のない美澄が賞金目当てに漫画賞に応募する展開を思いついたあたりから、現在の方向性にスライドしていったと記憶しています。なので舞台を東京にするというのは元の設定の名残りで、場所は美澄のキャラクターや私が新宿に縁があったこともあって、トー横にしました。

ーー本作のなかで、文村公氏自身が気に入っているポイントは?

文村公:やっぱり、美澄の漫画を読んだときの柳井の表情です。描いていても楽しかったですし自分としても気に入っています。あそこはセリフでなく表情などのリアクションだけで描き切りたかったんです。描きたいのは人間関係や人と人が触れ合ったときのリアクションなので、作中作などの表現方法ではない描き方を選びました。

ーー文村公氏が漫画を描き始めたきっかけは?

文村公:小さい頃から絵を描くのは好きで、漫画はずっと描いていました。最初は二次創作から始まって、出版社の編集者さんに声をかけていただいたことをきっかけに、商業でBL作品を描き始めました。その後、BL以外のジャンルを意識するようになり、今に至ります。

ーー最後に、漫画家としての今後の展望を教えてください。

文村公:今後も変わらず、人間ドラマを楽しんでもらえる漫画を描いていきたいと思っています。『マンガラバー』の中でもそれは変わらなくて、美澄には新しい人間関係をどんどん作っていってほしいです。柳井と美澄のこれからを、少しでも楽しんで読んでいただけますように願っています。2話以降もぜひよろしくお願いいたします!

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