【漫画】盛った日常を配信してたらハイスペイケメンにバレた……? 承認欲求と向き合う『のんのんの日常チャンネル』

盛った日常をVlog(ビデオによるブログ)で配信する平凡な主人公と、その視聴者のハイスペ会社員が織りなす不思議な関係性を描いたラブコメ漫画『のんのんの日常チャンネル』。その数エピソードがXに投稿されている。
現代的な題材を入り口に「見栄」「承認欲求」「本音と建前」といった人間の微妙な感情を軽やかにすくい取る本作。電子書籍の第1巻の発売を迎えた作者・路田行さん(@rotaico)に制作の裏話を聞いた。(小池直也)
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――なぜvlog配信者を主人公にしようと思ったのでしょう?
路田行:打ち合わせで担当さんが提案してくださり、そこから膨らませました。「vlog」と聞いて、最初に思い浮かんだイメージが「丁寧な暮らし」。ルームツアーやモーニングルーティンなど、日常をおしゃれに丁寧に切り取っていて素敵だなという印象がありました。それに私自身も憧れを抱いていて。
そんな生活をする主人公の漫画を読みたいなと、この題材になりました。ただ作り手がオシャレな人間ではないため「こんな生活は頑張らないと出来ないはずだ……」と考えて、今の形となりました。
――本作を描く際に意識したことや狙いなどはありましたか。
路田行:友達に話したら「考えすぎだよ」と返されて終わりそうなことや、あまり口に出したくない変わった感情を描けたらと思っていました。
小さな感情を描きたいので、逆にストレスが大きい場面は軽い読み心地になるように意識しています。例えば不快な気持ちや嫌な人、常識外れなキモい行動などはあっさり流したり、「それ普通にキショいよ」と思う描写を入れたり。これはフィクションだと理解しやすい方が気楽に読めるんじゃないかなと。
――なるほど。
路田行:あとは自分の感覚のままに描くと常識からどんどん離れていくので、担当さんなど第三者の意見を聞くことも大事にしています。その一方で読み心地とテンポ感も意識しているので、楽しんでもらえたら嬉しいです。
――主人公・ののを描く上で参考にした動画配信者などは?
路田行:特定のモデルはいません。でもvlogの場面は検索で出てきたり、お見かけした配信者さんを参考にしています。ののは性格が先に決まっていたので、参考にする動画を観て「ののがそれを真似して、それっぽく撮るにはどうするんだろう?」と考えて描きました。
――もし作中のチャンネル「のんのんの日常チャンネル」が実際に存在したとしたら、どうなると思いますか。
路田行:オリジナリティや登録者数がないですし、のの自身の野心も小さいので、実際に存在したら埋もれてしまいそうです。ただ本人の満足度が高いので製作を楽しんでいると思います。見栄っ張りで流されやすいので、出来栄え重視でジローの料理を使ったりなどしていますが……。
ののは動画を編集して公開できるくらいですし、案外マメなところもあるんじゃないかなと思っています。明るくて善人でのん気ないい奴だと思いながら描いています。
――どこかストーカー風でありながら良い人(?)な三里さんのキャラデザインはどのように作られたのでしょうか。
路田行:イケメン、ハイスペ……というイメージの自分にできる最大出力です。打ち合わせでハイスペについて調べたり話し合った結果、めちゃくちゃ体力があり、ガンガンに仕事をする人というイメージになりました。
ロボのような性格で、ミッションをこなすことが生き甲斐な印象があります。自分の感情を理解してないので、いつのまにかかなり偏ってしまってもあんまり気づけないような感じがします。あと暴力とか怒りっぽいよりも、ニコニコしたキモい人の方がいいなとか思ったりして。
――キュートな作画も特徴的ですが、本作の作画で意識していることは。
路田行:シンプルでかわいい絵が好きなので、そんな絵を目指しているかもしれません。記号的で分かりやすいのも好きです。漫画表現が好きなので、出来る隙間を見つけると擬音をやたらと入れたり吹き出しがムギュと圧をかけてきたり……などをやってしまいます。
――連載における苦労などはありますか。
路田行:色々と思い浮かびますが、一番はネームです。物語をゼロから作り出して他者に伝えるのは、何だか途方もないことのように思ったことがありました。そう自覚した後、すべての物語にビビり倒してしまって本屋に行けなくなった経験があります。今は担当さんに助けて頂いたり、いただいた感想を読んでやる気を出したりしています。
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