【漫画】目つきと口の悪い男にトキメクのはなぜ? レトロな西洋の世界観も美しい『その仕立て屋は星を紡ぐ』

漫画を、ストーリーを楽しむために読む人もいれば、絵柄を眺め画集のように楽しむ人もいるだろう。Xに投稿された『その仕立て屋は星を紡ぐ』では、ちょっと昔のヨーロッパの雰囲気を味わえ、さらには思わず手を伸ばしたくなる服飾が描かれており、ページを眺めるだけでも夢中になれる作品だ。
本作の作者・contiさん(@conti0666)に、作画におけるこだわりなどを聞いた。(望月悠木)
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世界観にはジャズ・エイジが影響
――ちょっと昔のヨーロッパを舞台にした2人の男女の物語でしたね。
conti:もともと「SNSに投稿していたキャラが登場する漫画を描こう」と温めていた企画です。海外を舞台に選んだ理由は、自分がドールやゴシック系、洋画などが好きだったことが背景にあります。また、以前、共同制作をさせていただいた際に“ジャズ・エイジ(1920年から1930年代初頭にジャズ音楽が人気を博していた時代)”の存在を知り、その要素も本作の世界観に影響を与えました。
――ヘンリーとアンの設定はどのように決めましたか?
conti:本作の主人公はヘンリーなので、ヘンリーのほうが設定が多いです。最初にギャンブラーという職業を考え、「それなら手先が器用かな」と膨らませ、「自分が洋服好きだったこともあって仕立て屋という設定も追加しました」。あとは、ギャンブラーに至るまでの過去を掘り下げていったという流れです。
――アンについては?
conti:ヘンリー自身も孤児だったという設定から、ヘンリーがアンのために動くきっかけになるように、設定や人物像を膨らませました。
――あまり2人が孤児になった背景などを明確に示す描き方ではなかったですね。
conti:まず読みやすさを重視し、その上で「ページ数を短くまとめたい」という意図がありました。そのうえで、「漫画は絵で説明できる」という利点を活かし、本筋の邪魔にならない程度に、孤児になった背景を入れています。
服に対するこだわり
――ヘンリーとアンのキャラデザはどのようなことを意識しましたか?
conti:ヘンリーは海外ドールのような金髪碧眼の美形をイメージしています。ちなみに、見た目とのギャップを出したくて、男前さを意識しています。服に対するこだわりなどは、少し自分の考えも反映されているかもしれません。アンは描きやすい見た目にして、性格は普遍的で共感しやすい、健気な女の子を意識しています。
――服をはじめとした、いろいろなカットの作画が綺麗で、まさに「服に対するこだわり」が垣間見えました。
conti:作画は読みやすく、伝わりやすさを意識しています。「読み手が世界観に引き込まれるような、レトロアンティークな雰囲気を統一したい」と思い、一部デザイン的に仕上げたりもしました。
――ヨーロッパ的な雰囲気が伝わる背景でしたが、そういった雰囲気を出すために意識したことは?
conti:線を描き込むことで古めかしさを表現したり、その時代・場所に合うような小物を調べたりもしました。そこまで重要ではありませんが、100年以上前の舞台設定となるため、現代に普及したものは出さないようにしています。
――注目してほしいカットや、苦労したカットなども教えてください。
conti:ガラリと雰囲気の変わるギャングシーンはお気に入りです。海外の映画をイメージしたので、「展開にメリハリをつけられたかな」と思っています。一方、苦労したのは状況説明も入る序盤と終盤でした。カットではないのですが、終盤の締めの文言を決めるのに頭を抱えました。
――今後はどのように漫画制作を進めていく予定ですか?
conti:自分のトキメキを大事にしていきたいです。ただ、それは必ずしも漫画媒体に限らず、「一番自分のパワーを出せる方法でも良いのかな」とも思っています。あとは、今後もSNSやイベントに参加しつつ、少しずつ自分のキャラとともに作品の魅力を上げていきたいです。
























