【漫画】猫と二人、終末世界で何をする? 寂しさとワクワクが同居する『The Last of Cats』

“終末世界”と猫。儚さや空虚さと共に独特のワクワク感も感じる『The Last of Cats』がXに投稿された。
猫のかわいらしさと終末世界の淡さが絶妙に噛み合った本作の作者・黒丸恭介さん(@BlackKyou)に、制作の背景などについて話を聞いた。(望月悠木)
続きを読むには画像をクリック

「廃墟を歩く猫を自分が見てみたい」
――今回『The Last of Cats』を制作した経緯を教えてください。
黒丸:オリジナル同人誌即売会「コミティア」に出展するため制作いたしました。制作当時は連載の傍らだったため、「ページ数が短く、コマ割りも大きくとれるものを」ということで本作を描きました。
――終末世界を舞台にした少女と猫の物語でしたね。
黒丸:自分が猫を飼っていることと、退廃的な世界観が好きなので、「廃墟を歩く猫を自分が見てみたい」という思いから、そのような物語になりました。
——少女が過去を回想しながら、猫との交流が描かれていますが、ストーリーはどのように構成したのですか?
黒丸:「廃墟の猫を見たい」という部分がメインでしたが、物語に仕立てるうえでそれだけではドラマが作りづらいため、「少女との交流を軸に据えよう」と考えました。また、「猫と触れ合ったことで、少女側にも何か心の変化があると良いな」というところから物語を練っていきました。
——どことなく猫特有の無邪気さを感じましたが、“猫らしさ”を出すために意識したことは?
黒丸:人間のように喋ったり、喋らずとも人間的に振る舞ったりなど、表現の世界ではいろいろな猫がいます。本作に関しては、“私たちの知っている身近な猫”のイメージを目指しました。その理由は単純に私の好みによるものです。何を考えているかわからないからこそ、可愛らしさや愛しさ、さらには「もしかしたら通じ合えたのかも」と人間側が勝手に嬉しくなるような瞬間があると思い、そうしました。
モデルは愛猫
――それぞれの少女はどう作り上げましたか?
黒丸:ビジュアルは深く考えず、勢いで決めました。ただ、少女たちは課せられた役割や仕事にちなんだ服装を意識してデザインしています。また、性格は「意外とロボット的だけど、人間らしく描こう」という感じです。
——一方、猫は飼っている猫を参考にしたのですか?
黒丸:そうですね。見た目も含めて自分が飼っている猫がモデルです。とはいえ、性格は実際の愛猫より少し穏やかかもしれません。
——猫のカットが可愛らしかったですが、猫を描く際のこだわりなど教えてください。
黒丸:飼い猫の姿を改めて観察したり、思い浮かべたりしながら描きました。
——また、黒丸さんが手がけた読切漫画『竜のタクシー』について以前取材させていただきましたが、本作とはタッチが変わっていた印象です。『竜のタクシー』とタッチを変えた背景は?
黒丸:『竜のタクシー』は、もともと出版社での掲載を目指したもので、掲載先も少女漫画誌だったため、それに合わせたタッチに寄せています。一方、本作は完全に自主制作だったため、いわゆる漫画でよく見る白黒表現ではなく、使える時間も考慮したうえでグレーで塗ることに挑戦しました。とはいえ、思ったよりは時間がかかってしまったかもしれません。
――『The Last of Cats』は今後も続編を描いていく予定はありますか?
黒丸:はい。自主制作で全4話ほどで完結を目指して描いています。「コミティア」に合わせて描いており、そちらではおまけ漫画もつけて頒布しています。ゆっくりしたペースですが、残り2話ほど描ききれればと思うので、気になる方は私のXなどをチェックしてもらえれば嬉しいです。






















