山田裕貴『怪人』発売記念イベント登場 ”着ぐるみ”など異色のテーマに「とっぴなことをやってみたかった」

山田裕貴の書籍『怪人』発売記念イベント

 俳優・山田裕貴の約6年間に渡る「TVガイドdan」の連載をまとめた書籍『怪人』が10月14日(火)に東京ニュース通信社より発売。発売記念イベントが10月19日(日)に開催された。

 山田裕貴が、“役を生きる”をテーマに’19年から’25年の約6年間に渡り「TVガイドdan」で連載した「山田裕貴の怪人百面相」を1冊にまとめた『怪人』を発売。“役者”と“一人の人間”としての二面性をテーマに構成された本作は、俳優としてさまざまな人生を生き続ける山田の本質を多角的に紐解くようなストーリー仕立てで展開。いろいろな人や職業、時には人ならざるものなどになりきる姿が収められた1冊となっている。

 出版物を発売するのが 8年ぶり3冊目となる山田。「コロナ以降、ファンの人にお金使ってもらうのは映画館や作品のためだけにしてほしいという思いがあった」と明かしつつ、「東京ニュース通信社の方が熱意を持って『まとめ本にしませんか』と言ってくださったので。(タイトルが)『怪人百面相』だし、 僕が意見をいっぱい言わせてもらって写真を選んだり、ページを変えたりするのをやめて、側から見える、演じている僕みたいなものを連載でも表現していたので、僕の思いより、“誰かが作る僕”という見方でもおもしろいなと思いました」と語った。

 自身のお気に入りのテーマを聞くと、「着ぐるみ、アリ、クラゲ…人じゃないんですけどね」と回答。“着ぐるみ”では6ページほどある中の5ページ山田の顔が写らないような形になったという。「俳優って側で見えているもので語られてしまったり、僕が今ここでしゃべっていることも、どういうふうに伝わっていくか分からなかったりする世の中なので。『本当の僕って何なんだろう』みたいなものを、その着ぐるみで表現できたわけですよ。雑誌の中でほかの俳優さんたちがページを重ねる中、僕のページだけ着ぐるみを被っていて顔が出ていないみたいな、そういうとっぴなことをやってみたかった。それが本当に、中に僕が入っているのかわからないっていう状態って、今の世の中に似ているなあっていう感覚もあって、そういうメッセージ性もありました」とテーマに込めた思いを語った。

 “アリ”については、「現場の空気が変わったんですよ」と当時の撮影が『むずかしい』という状況に陥った様子を振り返った。「『じゃあスタジオに吊るしてある紙をくしゃくしゃにして、土の中みたいなイメージにしませんか』とアイデアを出したら、衣装も、メイクも、と盛り上がっていって。普段、こんなことないんですけど。」と自身も企画提案に参加したことを明かし、「その場の即興で、僕たちの頭一捻り、心一捻りでどんなものにでも消化できるんだなっていうのを感じられました」と達成感をにじませた。

 約6年間の連載期間での環境の変化を尋ねると、「僕の心意気と心は変わってないんですけど」と前置きし、「わかりやすく言うと、スタッフさんたちが『山田くん』とか『裕貴!』って呼んでくれていたのが、『あ、山田さん』みたいになってきちゃったっていう。悪いことじゃないんだけど、『こんなに距離あったっけ?』みたいな。周りが僕を大きくしていってくれているなっていうのと、同時にちょっと寂しさを感じることもあります。フランクにしゃべりたいんだけど。その中でも、もちろん毎現場すごく楽しいです」と心境を語った。

 さらに作品を3つほど掛け持ちしながら連載を続けている状況もあったようで、「とんでもないスケジュールをどうにかしたいなと思います。これは文句じゃなくて、クオリティーを上げたいという。僕はこれで準備ができているのかという不安というか、これは果たしていい俳優なのかって、自分に問う日々が続いている」と吐露。準備期間を持って作品に挑むことの重要性を語りながら、「ここから先もっとクオリティーを高めたり、ハイレベルのものを目指す上で、自分の中に落とし込む時間だったり、勉強する時間だったり、アクションなら精度を上げる時間が圧倒的に足りてないんじゃないかっていうのはものすごく思います。その中で『山田くんすごいね』と言われても、『もうちょっとできたかもしれないな』と思っている自分がものすごく嫌だなっていうのを思っています」とストイックな姿勢を見せた。

 今したいことは何かという質問が飛ぶと、「ぜいたくは言わないので、準備の期間、勉強する時間がほしいですね。ぜいたくを言うのであれば、ちゃんとした休暇がほしい」と回答。じっくり準備してこれから挑みたいことについては、「これからの全作品そうですね。だけど、僕はやると思います。結果、どんな時間があろうがなろうがなかろうが、僕は全力でやっていると思います。そういう俳優なんだと思います」と毅然とした姿勢を見せた。

 最後に、「怪人」を手に取った人、そしてファンに向けて「ファンの人はもちろん、それだけじゃなく、たくさんの人に映画館に来てもらったり、ドラマでも作品のおもしろさを楽しんでもらったりっていうのがもちろんなんですけど。その前に、8年もファンの人たちに、恩返しとして何か形に残る、本みたいに手に取って読めるものを届けられていなかったなと思って。そういう人たちに向けた1冊です。無理難題を受け入れてくれた編集者の方の思いも受け取ってもらえたらいいなと思っています。いつも応援してくださっている皆さま、本当にありがとうございます」とメッセージを残し、会見を締めくくった。

■書誌情報
山田裕貴『怪人』
著者:山田裕貴
価格:3,300円(税込)
発売日: 2025年10月14日(火)
出版社:東京ニュース通信社

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