【漫画】好きな子ほど構いたい? 超肉食系溺愛男子にキュン『ランボーくんは片想い』

【漫画】好きな子ほど構いたい?

幼馴染ならではの距離感は不思議

――なぜ『ランボーくんは片想い』を制作したのですか?

たかせ:もともと漫画家を目指していたのですが、その夢を諦めて地元のデザイン会社に就職しました。その後、「自分が本気で極めたいのはデザインじゃない」と気付き、再び漫画家を目指し始めた時に制作した作品です。

――どのように制作を進めていきましたか?

たかせ:最初に「編集部の目にとまる1ページ目を作ろう!」という狙いがあり、そこで当時流行っていた“壁ドン”に注目しました。そして、「じゃあ“足ドン”はどうか?」という発想がすぐに出てきて、そこから一気に膨らませていった感じです。

――不器用かつ溺愛系の男の子がメインのラブコメ漫画でしたね。

たかせ:ランボーくんと紅ちゃんの関係性は、近所にいた幼馴染の同級生たちを思い出しながら描きました。しょっちゅう喧嘩してるのに、すぐケロッとしてまた普通に話していて。私には幼馴染がいなかったので、あの距離感が不思議で、印象に残っていたことが本作に影響したのかもしれません。

――とはいえ、蓬生と紅の2人に佐伯を加えた三角関係でしたが。

たかせ:この作品には「片想いさせる側の辛さや残酷さ」という裏テーマがあります。少女漫画は「ヒロインが片想いして頑張る」が王道とされていますが、本作では紅ちゃんが先輩に恋をする前から、すでにランボーくんが紅ちゃんに片想いしています。紅ちゃんは失恋を通して、初めて「自分も誰かを傷つけてたかもしれない」と気づきます。「片想いはつらい」だけではなく「想われる側も何かを背負ってる」、そんな視点で読んでもらえたらと思ってストーリーを組み立てました。

――蓬生の溺愛ぶりは見方によっては「暴力的」「ストーカー」という印象を与えかねません。蓬生を描く際に意識したことは?

たかせ:ランボーくんの“押しの強さ”の表現はかなり気をつけました。まず大前提として、紅ちゃんが怯えていないこと。嫌な時はちゃんと「ダメ」と言えるし、次の瞬間にはケロッと普通に話している。そうした信頼関係がベースにある幼馴染として描いています。ランボーくんも、紅ちゃんの「ダメ」はちゃんと聞ける人です。自制心がきかなくなったのは、紅ちゃんが佐伯先輩にクッキーを渡せずに落ち込んでいた時だけ。困らせることはあっても、傷つけることは絶対にしません。2人の間にある長年の信頼が自然に伝わるよう意識していました。

――一方、紅の言動で気を付けたことは?

たかせ:紅ちゃんはランボーくんにすごく気を許しています。一方的に押されているように見えがちですが、実は紅ちゃんも無神経なことを言ったり、彼の気持ちに気づけていなかったりなどします。そんな不器用さも含めて、人間らしくて魅力的なキャラクターとなるよう描きました。

告白シーンに込めた思い

――壁ドンや萌袖など、「可愛い」が詰め込まれた本作ですが、特にお気に入りのカットは?

たかせ:ランボーくんが紅ちゃんの焦げたクッキーを「うめぇ」って言いながらボリボリ食べるところです。(笑)紅ちゃんは一番綺麗なクッキーを佐伯先輩に渡そうとしていて、ランボーくんもそれをわかっている。それでも「紅ちゃんのを食べたかった」という気持ちが、あの表情に全部出ていると思っています。

――「好きだぜブス」と言って告白するシーンもニヤニヤを加速させました。

たかせ:ランボーくんは、絶対にストレートに「好きだ」と言えるタイプではないと思っています。本人なりの照れ隠しというか、「うっせーブス」というノリで「好きだぜ」と言うだろうと考え、割と自然に出てきたセリフです。また、この「ブス」も決して貶しているわけではなく、「不器用なとこも鈍感なとこも全部わかった上で、それでもお前が好きだよ!!」という意味です。小さい時からそばにいて、彼女のいろんな面を知っているからこそ、その全部を含めての「好きだぜ」という、彼なりの最大限の愛の告白です。

――告白シーンの作画でのこだわりは?

たかせ:ランボーくんがグイッと強引に引き寄せているように見えて、そっと優しく触れているような感じで。また、「紅ちゃんの髪が美しくふわっと流れるように」と思いながら描きました。

――今後はどういった作品を制作していきたいですか?

たかせ:一度は諦めた漫画家という夢をもう一度拾ってここまで来ました。まだ道の途中ですが、これからも作品を通して読んでくれた人の心に何かを届けられるよう、歩き続けたいと思っています。現在は連載準備中なので、過去作で気になるものがあれば、ぜひ読んでもらえたら嬉しいです。

■ 関連作品紹介
『カノジョになりたい君と僕』(GANMA!)

高校を舞台にした青春ラブストーリー。
「男の子に生まれた女の子」に恋をしたヒメちゃんの葛藤が描かれている。
また、英語版が海外で紙の単行本として出版された。

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『塔子さんはいい大人じゃいられない』(GANMA!)

無表情アラサーOLと年下男子の年の差ラブコメ。

▶︎1話試し読み:https://share.ganma.jp/magazines/toukosan
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『こないでコウノトリ』(GANMA!)

「子どもを産みたいと思えない」女性が主人公の夫婦ドラマ。
ショートドラマ化もされ、縦型ショートドラマアプリ「POPCORN」にて配信中。

▶︎1話試し読み:https://share.ganma.jp/magazines/pregnant
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■たかせうみ X(@TakaSe519): https://x.com/TakaSe519

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