お盆に読みたい最恐ホラー漫画  怖すぎる百物語から異色作、巨匠の作品まで……衝撃展開の名作3選

お盆に読みたい最恐ホラー漫画3選

伊藤潤二『富江』シリーズ

伊藤潤二 『伊藤潤二傑作集(1)富江(上)』(朝日新聞出版)

 伊藤潤二といえば、言わずと知れたホラー漫画の大家。今年7月には“漫画のアカデミー賞”とも呼ばれるアメリカの「アイズナー賞」で殿堂入りを果たしたことで話題を呼んだ。

 『富江』シリーズはそんな伊藤の代表作。異様なほどの美しさをもつ少女・富江をめぐる物語となっている。

 富江は男性を破滅へと導くファム・ファタール的な人物として造形されており、出会った人間を手当たり次第に誘惑し、その美しさの虜にしていく。しかし富江自身は「私は本気で男を好きになんかならないわ」と語っているように、男性を自尊心や虚栄心を満たすための道具としか捉えていない。

 また、富江に夢中になった男はなぜか残虐な性質が引き出されることに。大抵最後には富江を殺害し、その肉体をバラバラにするのだった。

 だが、富江はどうやら人類とは違った生き物らしく、驚異的な再生能力をもっており、どれだけ小さな肉片になっても再生することが可能だ。しかも1つの肉体に戻るのではなく、それぞれが1人の富江になろうとするため、無限に増殖していく。

 欲望に狂う人間の恐ろしさや、得体の知れない富江の生態などが作品の見どころ。たとえば「もろみ」という短編では富江をミンチにしてタンクに入れ、日本酒を造ろうとする男たちの悲喜劇が描かれていた。

 一口にホラーといっても、そこで描かれる恐怖の質は多種多様。今回は長年愛されてきた名作から近年の話題作まで幅広い漫画を取り上げているので、自分の“恐怖のツボ”にハマる作品を探してみてほしい。

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