【漫画】もしも”次の神様”に選ばれたら? 選ばれし小学生の葛藤と決断を描く『かみさまになるおとこのこ』

【漫画】もしも”次の神様”に選ばれたら?


ーー本作を創作したきっかけを教えてください。

直江かおる(以下、直江):本作は私が初めて描いたオリジナルの漫画作品です。「コミティア(一次創作の同人誌即売会)」に出展していた友人が楽しそうに見えて、私も作品を描きたいと思い、2024年の春に開催されるコミティアに出展するために創作した作品が本作です。

ーー漫画を創作する上で、主人公を小学生にした背景は?

直江:小学生を主人公にした作品はたくさん存在すると思います。ただ小学生を主人公にした作品は成長を描いたものが多いです。そんななか「小学生が成長しない作品があってもいいんじゃないかな」と思い、小学生の成長が止まってしまうお話を描こうと思いました。

ーー「かみさま」に成った瞬間のアキの表情が印象に残っています。

直江:理不尽なことに立ち向かう少年が好きで、創作するなかで登場人物に業を背負わせたいという思いがあります。「かみさま」になるアキはもちろん、誰もアキのことを知らない世界に残されたナオトにも業がある……。このときのアキはそんな葛藤を抱えた表情だと思います。

ーー理不尽なことに立ち向かう少年を描きたいと思う背景は?

直江:小学生や中学生は、自分の力だけで行動できる範囲に限界があると思います。どんなに力があっても、意思があっても、未成年だから保護者の許可がないと行動できないことが多くある。

 しかし小学校高学年くらいから自分の意思がつよく芽生えはじめるため、少年時代はもどかしい年代だなと思って。そんなところにつよく惹かれます。

ーーアキとナオトの別れのシーンに込めた思いは?

直江:アキはナオトに何も言わず消えてもよかったと思います。「自分のことを覚えていてほしい」というアキの願いは、ナオトにとって業になってしまうと思います。ただ君だけは自分のことを覚えていてほしい。そんな2人だけの秘密と言いますか……。

 良いことであっても、悪いことであっても、2人だけの秘密ってうれしいことだと思います。2人だけのなにかがある関係が好きで、そんな関係を描きたいです。

ーー本格的に漫画を描き始めて約1年が経つなか、漫画を描くことへの印象は変化した?

直江:ちゃんと考えて漫画を描くようになりました。今までは自分の感覚を頼りに漫画を描いてたのですが、例えば見開きのページはこう見せた方がいいとか、担当編集さんのアドバイスをいただきながら読者を意識して漫画を描いています。

 同人誌だと自分の好きなように描けばいいですし、作品のページ数も考えなくてよいです。ただ商業デビューを目指し始めた直後には短いページ数の作品が描けなくて。不要なところを削ったり、読者が読みやすくなるようなコマ割りにしたりなど「いろいろ考えなきゃ駄目なんだな」と思うようになりました。

ーー本作をコミティアに出展した際の感想は?

直江:描いている最中は楽しかったのですが、いざ出展となったとき、緊張から全部が嫌になって。「誰も自分の作品を買ってくれないよ」と思い、SNSなどでも出展を告知しませんでした。ただ当日には同人誌を買ってくれる人がいて、作品の感想を送ってくれる人もいて、それが嬉しかったです。

 自分の作品を読んでくれる人がいることはとても励みになります。だから今も調子に乗り続けながら、漫画を描きつづけられているのかもしれません。

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